2023 Fiscal Year Annual Research Report
有権者の投票行動と政策への民意の反映についての政治経済学的実証研究
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19K13718
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡部 智人 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (50768364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済成長 / 内戦 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は前年度に引き続き、アフリカのマクロ経済に関する研究を行った。具体的には、アフリカで長く続いてきた内戦が経済成長にどのように影響するのか、またその政治行動メカニズムについて説明するための理論モデルを構築した。モデルの枠組みは内生成長モデルに基づいており、政策変数の決定メカニズムはBesley&Persson(2011)を参考にしている。特に、軍事支出を表す政策変数は政治的グループ間で行われるゲームのナッシュ均衡として内生的に決定され、均衡解はモデルパラメーターに依存する。特に、当該年度では紛争当事国のデータにモデルパラメーターを当てはめた数値解の分析(いわゆるキャリブレーション)に注力した。より具体的には、各パラメーターの値の変化が均衡解にどのような振る舞いをもたらすのかを示し、紛争状態が起こっている国については、平和状態が実現した場合の経済成長率や経済厚生の変化をシミュレーションすることによって、内戦の影響を定量的に検討した。研究成果は、国内外の研究集会や学会で報告し、聴衆から有意義なコメントを得ることができた。 また、上記に加えてプロジェクトの前半では英国のミクロデータを用いた実証研究にも取り組んだ。具体的には、パネルデータ分析から、投票率の世代間差異を説明する要因として4つのライフサイクルイベント(結婚、子供、定住性、持ち家)が有意に働くことを確認した。 全体としてパンデミックの影響によってデータ取得や成果報告の機会を得るために想定以上の時間を要したが、一定の研究成果は上げることができたと考えている。
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