2023 Fiscal Year Research-status Report
子どもの性別と性別役割分業意識の固定化に関する実証分析
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19K13726
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
湯川 志保 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (50635141)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 性別役割意識 / 教育投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き子どもの性別と教育投資の関係を分析することで本研究課題の解明に取り組んだ。これまでの進捗と課題は以下4点にまとめられる。 ①性別役割意識の高いグループの方が低いグループよりも女児に多くの教育投資を行っていることが推定された。 ②①の推定結果の背景として、以下のような考察を行った。現在の社会の状況においては、子どもの成人後の暮らし向きが一般的に男女で異なることが関係していると推測した。したがって、その男女の差異を踏まえて親は子どもへの教育投資を決定するであろう。それゆえ次の③のような推定を試みた。 ③プロスペクト理論で提示される損失回避の性向が性別役割意識と相関をもつかについて分析を行った。その結果、損失回避の性向と性別役割意識には相関があることが確認できた。 ④①と③の実証結果から、子どもの性別による教育投資の違い、親の性別役割意識の違い、および親の損失回避の傾向に強い関係性があることが示唆された。しかし、この段階ではこの3つの論理的な関係性が明確ではない。したがって、より詳細な実証分析を行う必要があるとともにそれを説明する経済学的なメカニズムについて先行研究を参考にしながら模索する必要がある。それが次年度の課題である。これらの研究課題を解決し、その成果をまとめ国際的査読付き学術誌に投稿することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
より詳細な実証分析およびそれを説明する経済学的なメカニズムを模索するという課題は残るものの子どもの性別と教育投資に関する分析を昨年度よりもさらに進めることができた。したがっておおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた分析結果をもとに実証分析を精緻化するとともに経済学的なメカニズムについても推進する。さらに、これまでの研究成果について学会報告し、国際的査読付き学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響が薄らいだとはいえ、依然として感染は続いているので海外出張等を次年度に延期したため。次年度に学会報告や出張などで適切に執行する予定である。
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