2019 Fiscal Year Research-status Report
消費課税が産業別経済変数に及ぼす効果の理論実証分析
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19K13727
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平賀 一希 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (40528923)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消費増税 / 産業別 / 地域別 / 消費者物価指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、消費増税による影響について、地域別および産業別で見た際にどのような効果の違いができるかについて、軽減税率導入の効果を含めて理論および実証分析の両面から検証していくことである。 2019年度においては、理論モデルの構築および実証分析に向けたデータ入手・加工を行った。理論モデルについては複数財の存在する寡占市場の一般均衡モデルを用いて分析を行い、2019度においては消費増税による価格や賃金への転嫁がどの程度生じうるかについての分析を行っている。実証分析については、産業別・地域別の消費者物価指数の月次データを用いて、消費増税が価格指数に与えた影響を事前(1年前から1か月前)、同時点、および事後(1か月後から1年後)でどのような変化があるかについて、(パネル)時系列分析の手法を用いて検証する。その上で、時点ごとの短期的な視点だけでなく、全期間を通じた影響を含めて分析を行う。2019年度においては、消費者物価指数のデータの収集および加工を行ったうえで、産業間、および地域間の違いについて予備的調査を行った。 本研究と関連する研究成果として、ニューケインジアン型DSGEモデルにおける従量税と従価税が経済(厚生)に与える効果を比較した研究(Hiraga(2020))が挙げられる。Hiraga(2020)では、従量税と従価税の効果については、比較静学においては従価税のほうが効率的であるということが分かった。これは、ニューケインジアンモデルにおいては、中間財市場において独占的競争となっていることに起因する。一方、対数線形近似を行った比較動学においては、厚生の差が存在しないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集および関連する研究が海外査読誌に載ってこともあり、全体としては、遠隔に研究が進められている。一方、新型コロナウィルスの影響により、2020年度の研究報告などを含めた研究活動については、当初の予定通りの進められるかは多少不確実であることが懸念される。可能な限り代替的な方法(オンライン学会や研究会での報告)を含め、研究へのフィードバックを得る手段を講じて、本研究を円滑に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度については、理論分析および実証分析において1本ずつ論文の第1稿を書き上げることを目標とする。その上で、国内外の学会や研究会での報告を行いながらブラッシュアップを図りたい。しかし、新型コロナウィルスの影響を加味すると、大体手段を用いた研究報告を含めて、より円滑にかつ、(期限を延ばすなどして)より貢献度の高い研究成果を出す体制を構築することも念頭において、研究活動に励んでいきたい。
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Causes of Carryover |
年度末にハワイ東海大学(Hawaii Tokai International College)において開催予定であったカンファレンスに参加する旅費宿泊費、および会場使用料が新型コロナウィルスの影響で開催中止になったため、今年度使用する費用が大幅に減少した。 2020年度において、パソコン購入およびコロナウィルスの影響が収束して以降の国内外での研究報告、および大学院生のResearch Assistantとしての雇用を増やすなどして、円滑な研究および研究費の消化を行いたい。
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