2022 Fiscal Year Annual Research Report
What causes low female labor supply?: separating the effect of culture from economic& social factors using large-scale data from Japan
Project/Area Number |
19K13733
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
劉 洋 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (50635084)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本人 / 在日外国人 / 女性 / 労働参加 / 経済要因 / 文化要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は、Epidemiological approach in economicsを用いて、日本に在住する日本人と外国人を比較することにより、居住先の経済・社会的な環境要因を排除した上で、個人における経済要因と集団(国籍)における文化要因が、既婚女性の労働参加に与える影響について実証的なエビデンスを示した。これまで、女性の労働市場での活躍を制約する要因には、男女間格差、長時間労働、税制度など、就労に関する経済的・社会的環境が指摘されてきた。しかし、日本に長期滞在する外国人女性は、日本人女性と同様の環境に直面しているにも関わらず、労働参加率が日本人女性より有意に高いことが示された。また、「世界価値観調査」に基づく文化の変数を分析に取り入れた結果、女性就労に対して、経済要因と文化要因の両方が有意な影響を与えることがわかった。最後に、本研究の要因分解に用いた分析モデルでは、日本人と外国人の既婚女性の労働参加率の差を93.6%説明でき、そのうち、文化要因は25.8%、女性本人の教育水準は21.1 %、夫の教育水準は23.6%を説明できることが示された。以上の結果は、政策インプリケーションとして、(1) 外国人受け入れ政策に対しては、日本に長期滞在する外国人女性の労働参加率が日本人女性より高いことから、人手不足対策としての外国人女性の受け入れが有効であることと、(2) 女性就労政策に対しては、『女性版骨太方針2022』にあるような、「女性の経済的自立」、「男性の家庭・地域社会における活躍」に関する社会的な価値観を普及することは、女性就労の促進に寄与する可能性が高いことを示唆する。
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