2019 Fiscal Year Research-status Report
A new automatic differentiation and its application to computational finance
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19K13736
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山田 俊皓 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50754701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自動微分 / 高次離散化 / 確率微分方程式 / 放物型偏微分方程式 / ディープラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究代表者のこれまでの研究成果である確率微分方程式の解の期待値の高次離散化法を自動微分に適用する方法を考案した。 (1)偏微分方程式の解に対する高次離散化法による自動微分を提案した。オイラー・丸山近似を用いた標準的な(既存の)自動微分を拡張し、ブラウン運動の多項式による補正項を加えた新しい方法を提示した。従来のオイラー・丸山近似を用いた自動微分法が離散化数に対して一次のオーダーの近似法を与えるのに対して、提示した方法は理論的に二次のオーダーの精度を持つ。特に、偏微分方程式の終端条件が滑らかな関数でないケースに適用するための理論的方法も提案した。この研究成果は、数値計算に関する主要ジャーナルの一つであるNumerical Algorithmsに掲載された。 (2)後ろ向き確率微分方程式の解に対し、マリアバン解析と自動微分の方法を用いて二次離散化の構成を行った。特に後ろ向き確率微分方程式の計算に現れる反復条件付き期待値を高速に計算する方法を与え、数値実験により理論通り二次のオーダーの精度を持つことが確認された。この研究成果は、数値計算に関するジャーナルの一つであるMonte Carlo Methods and Applicationsに掲載された。 さらに、近年提唱された高次元偏微分方程式の解に対するディープラーニングを用いた数値計算法を効率化するアルゴリズムの構築も達成できた。100次元の偏微分方程式の解に対して従来の方法よりも速く収束させることを数値実験により確認した。この方法は、現時点では高次近似の枠組みには未だ入っていないが、研究代表者のこれまでの成果と自動微分の方法を合わせたものであり、今後さらなる改良が期待できる。この研究成果は、金融工学のジャーナルに投稿し、アクセプトされている(2020年掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で考えた数値計算法の理論を構築し、数値の精度も想定したものを達成できた。また研究対象も当初考えた偏微分方程式の解への適用だけでなく、後ろ向き確率微分方程式に対しても新しい方法が得られている。研究成果が数値計算に関するジャーナルに既に複数本掲載されたことや、さらに高次元偏微分方程式モデルに対するディープラーニングを用いた方法と研究代表者の方法を繋ぐ仕組みも構築できつつあることから、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に得られた研究成果をさらにブラッシュアップする予定である。具体的には、2019年度に得られた方法をベースとしてより効率的な数値実装を行うこと、金融実務等で用いられる様々なモデルに適用して効果を検証し改良を行うことである。また、離散化を行う際の拡散半群の近似を別の枠組みで行う方法についても検討したい。これによって、近似のバリエーションが増えると考えられる。ディープラーニングを用いた新手法についても、より複雑な非線形数理モデルの下でさらに高度化を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた物品購入等を2020年度に実行することにしたため、次年度使用額が生じた。2020年度は旅費の使用予定が変更となる可能性があるが、研究状況に応じて研究に資する物品購入や人件費割り当てを行うことを予定している。
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