2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Relationship between Time-Varying Structure of Anomalies and Speculative Bubbles in International Stock Markets
Project/Area Number |
19K13747
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野田 顕彦 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (80610112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 計量ファイナンス / 時系列解析 / 状態空間モデル / 一般化最小2乗法 / マルチファクターモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,一般化最小二乗法(Generalized Least Squares; GLS)に基づいた時変多変量回帰モデルを構築し,Fama and French (1993, 2015) で提案された2つのマルチファクターモデルに適用することで,国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造について解明することである.今年度は,まず,本研究を遂行するために必要となる分析ツールとして,Ito, Noda and Wada (2017) で提案されたGLS推定量に基づいた時変推定モデルの枠組みを,より一般的な時変多変量回帰モデルへと拡張した.それと同時に,疑似データを用いた試行実験を行い,GLSに基づく時変多変量回帰モデルの理論的特性をシミュレーションによって考察した.頻度論統計学に基づいた時変多変量回帰モデルを構築することで,ベイズ統計学で用いるようなパラメータの事前分布に依存することなく分析が可能になるだけではなく,多くの既存の検定統計量が利用可能となることが示された.さらには,Fama and French (1993, 2015) で提案された2つのマルチファクターモデルの説明力を検証するために実施された計量分析に関する総合的なサーベイを実施した.先行研究における従来の分析手法を用いたとき,サンプルサイズの大きさや移動窓法を実施する際のウィンドウ幅の設定によっては異なる結論が生じうるが,こうした点を明示的に考慮した研究は存在しないことが明らかになった.総合的なサーベイを実施したことによって,「国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造の解明」という本研究課題の目的と,既存研究との差異を明確にすることができたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように,理論的な側面からは,Ito, Noda and Wada (2017) で提案された一般化最小2乗(Generalized Least Squares; GLS)推定量に基づいた時変推定モデルの枠組みを,より一般的な時変多変量回帰モデルへと拡張すると同時に,疑似データを用いた試行実験を行い,GLSに基づく時変多変量回帰モデルの理論的特性をシミュレーションによって考察した.また,総合的なサーベイを実施することによって,本研究課題の目的である「国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造の解明」について,既存研究との差異を明確にすることができた.以上2点の基礎的作業を完了できた点からも,現在までの達成度は概ね良好であると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」でも述べたように,今年度に行った本研究課題における分析手法および総合的なサーベイを踏まえて,計量分析を行うためのデータを構築すると同時に,実証分析を実施する.また,今年度までに行った研究成果については,国内外の学会や研究会において報告を行う.そして,得られたコメントに基づき論文改訂を行ったのちに,国際学術雑誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
今年度購入したワークステーションの購入額が当初の想定金額よりも僅かに安かったため差分が生じた.次年度以降には国内外の学会や研究会での研究報告を予定しているので,今年度生じた差額分は旅費宿泊費等に使用する予定である.
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