2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Relationship between Time-Varying Structure of Anomalies and Speculative Bubbles in International Stock Markets
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19K13747
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野田 顕彦 明治大学, 商学部, 専任准教授 (80610112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチファクターモデル / 状態空間モデル / 一般化最小2乗法 / 小型株効果 / バリュー効果 / モメンタム効果 / 収益性効果 / 投資効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,一般化最小二乗法(Generalized Least Squares; GLS)に基づいた多変量状態空間モデルを構築し,Fama and French (1993, Journal of Financial Economics) 以降に提案された様々なマルチファクターモデルに適用することで,国際株式市場におけるアノマリーの時変構造について解明することである.今年度は,前年度までに実施した日本・アメリカ市場におけるFama and Frenchの3ファクターモデルおよび5ファクターモデルの有効性に関する分析に加え,Fama and French (2016, Review of Financial Studies) およびFama and French(2018, Journal of Financial Economics)で提案された6ファクターモデルの有効性について,分析対象にヨーロッパ市場を追加した上で検証した.具体的には,Kenneth R. French教授(ダートマス大学)のホームページから取得・整理した日本・アメリカ・ヨーロッパ市場におけるデータを用いて 6ファクターモデルの各ファクターについて,GLS推定量に基づいた多変量状態空間モデルを用いた時変パラメータの推定を実施した.推定された時変パラメータについて日米欧間で国際比較を実施した結果,(1)日米欧ともに,Fama and Frenchによって提案された複数の2つのマルチファクターモデルの各パラメータは時間を通じて変動している.(2) 残差ブートストラップ法を用いて実施した統計的推論の結果, Fama and Frenchによって提案された複数のマルチファクターモデルの欧州における有効性は,日米における有効性と比較して通時的に低い可能性が高い,ということが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように,理論的な側面からは,前年度までに構築したGLS推定量に基づいた多変量状態空間モデルの有限標本特性についての論文をまとめ,国際学術雑誌Econometricsに公刊することができた.また,Kenneth R. French教授(ダートマス大学)のホームページから取得・整理した日米欧のデータを用いて,Fama and French (2015)で提案された5ファクターモデルに加えてFama and French (2016, 2018)で提案された6ファクターモデルにおける各パラメータの推定を実施した.これによって,本研究課題の目的である,国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造を解明するための端緒となる,推定された時変パラメータの国際比較を更に深めることができた.以上2点の研究を完了できた点からも,現在までの達成度は概ね良好であると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」でも述べたように,今年度に行った本研究課題における端緒となる実証分析の結果を踏まえ,より精緻な分析を実施してそれらの解釈を実施する.また,今年度までに行った研究成果については,国内外の学会や研究会において報告を行う.そして,得られたコメントに基づき論文改訂を行ったのちに,国際学術雑誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍における国際学会のオンライン開催によって,次年度使用額が生じた.次年度以降には国内外の学会や研究会での研究報告を予定しているので,今年度生じた差額分は旅費宿泊費等に使用する予定である.
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