2019 Fiscal Year Research-status Report
売買単位集約を目的とした株式併合の増加と株価・流動性への影響
Project/Area Number |
19K13750
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
高阪 勇毅 福山大学, 経済学部, 講師 (60632817)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 株式併合 / 流動性 / 売買単位集約 / 証券市場活性化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2006年以降の株式併合実施銘柄を対象に、株式併合実施前後における株価の変化と流動性の変化を、複数の尺度から実証する。標本期間は併合実施前、実施後、それぞれ1年間とする。流動性の計測には売買代金、売買高だけでなく、日中の取引データを利用したスプレッド(気配・実効・実現)、逆選択コストも計測する。いずれの流動性指標も、銘柄ごとに併合前と併合後の平均値を算出し、流動性の変化を計測する。また、結果の頑健性を高めるため、併合実施企業ごとにコントロール企業と比較する。次に、株価・流動性の変化を被説明変数、銘柄属性を表す説明変数とした回帰分析を行い、株価・流動性の変化と銘柄属性の関係を明らかにする。とくに、「分割前の個人投資家数」と「呼び値の刻み(注文値段の最小単位)」に着目し、株主構成と株価の価格帯が株価と流動性に与える影響を実証する。とくに、取引価格帯による最小呼値の変更によって、相対スプレッド率の増加が懸念される銘柄での流動性効果は意義深い。 平成31年度(令和元年度)は、データ整理、計算作業を中心に取り組み、株式併合実施前と実施後での各流動性尺度の比較を行った。その結果、売買単位集約目的での株式併合の場合、売買高・売買代金などの取引活動に有意な変化は見られなかったものの、投資家にとって取引コストと考えられるスプレッドを有意に縮小させた効果が見られた。今後はこの結果の頑健性を高めるため、コントロール企業を用いた比較分析を行い、論文にまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の研究で利用してきた計算プログラムを活用することで、長時間を想定していたデータ整理・加工・分析作業を多少は短縮することができたため、比較的順調に研究は遂行できていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き継続中の分析を進める。とくに、現時点での計算処理の頑健性、分析結果の頑健性を高め、株式併合実施による流動性の改善効果を明確にしたい。その後、論文の執筆、査読雑誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
令和元年末から研究データの保存装置と計算処理システムを刷新し、頑健な体制を構築しようと思ったものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、迅速な調達が困難であった。また所属機関の異動が決定し、引っ越しに伴うシステムの破損を防ぐためにも、購入を令和2年度に繰り越すことにした。令和2年度は研究データの保存装置と計算処理システムと新たな所属先にはないデータベースの購入に利用予定である。
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