2023 Fiscal Year Annual Research Report
Economic reconstruction of Hiroshima city: an analysis of economic statistics, 1945-1965
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19K13762
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西崎 純代 立教大学, 経済学部, 特任教授 (30802110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 戦後復興 / 移行経済 / 労働市場 / 広島 / 沖縄 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は下記の研究活動を行った。 【広島市の経済復興に関する経済統計分析と事例研究】広島県、広島市等発行の経済統計を月別で追跡し、1946年から1950年代半ばまでの経済復興の過程を分析した。同時に、広島県、県内市町村発行の行政史、社史、個人史、新聞記事による事例研究を活用し、量的分析と合わせた研究を行った。また、労働市場の動向を詳しく把握するため、全国で80万以上の世帯が参加したといわれる「引揚者在外事実調査」(厚生省、1956年)個票のデータベース整備を引き続き行い、広島市を中心に分析を行った。この過程で、就職のために関西、特に大阪圏に移り住んだ人々が多いことを確認し、プル要因の一つであった繊維産業への就職状況を知るために、大阪府貝塚市の「調査票」を収集し、大日本紡績貝塚工場などへ就職した人々の地理的移動状況・職業活動を追跡した。 【比較・共同研究】広島市の戦後復興過程をより広い文脈で位置づけるため、同じく壊滅的な被害を受けた沖縄県との比較分析を行った。琉球列島米国民政府・琉球政府史料、沖縄県・市町村発行の行政史、社史から得られる質的・量的情報から分析した。琉球大学のグループと共同で行った沖縄県「引揚者在外事実調査票」の分析(科研研究課題19H04357)の成果を、社会経済史学会第 92 回全国大会(2023年5月)において、「戦後沖縄県の労働市場と満洲引揚者」の論題で報告した。 一連の研究により、これまで政治学・社会学的に捉えられることが多かった広島市の第二次世界大戦後初期の復興研究に、マクロ・ミクロレベルの経済復興の視点を取り入れ、1945年から1950年代半ばまでの状況をより包括的に明らかにした。
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