2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期フランス北部炭鉱業と外国人労働者の経営史的研究
Project/Area Number |
19K13763
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
定藤 博子 阪南大学, 経済学部, 准教授 (40804282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 移民史 / フランス / 炭鉱 / ポーランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は産業発展と労働力の再生産の関係をとらえるため、両大戦間期フランス北部炭鉱業を事例に、炭鉱業の発展と外国人労働者の導入と労働環境を解明することを目的とした。このための具体的な作業としては①資料収集、②データベース作成、③分析、④研究成果の発表である。 ①資料収集については、新型コロナウイルスの影響のなかった2019年と2023年には渡仏し、労働界文書、県立文書館、炭鉱労働者歴史センター等で資料調査を行った。これにより両大戦間期だけでなく、20世紀前半の資料を入手した。例えば、第一次大戦前や第二次大戦中の外国人労働者の採用についての資料やフランスに帰化した人物の個票を集めることができた。 ②データベースの作成については、個票のデータベース作成を想定していた。2020年から2022年にかけては所属大学の指針により渡仏はかなわなかったが、2023年9月の史料収集により個票を入手し、少数ではあるが個票データベースを作成した。 ③これらの史料収集や分析により、生活水準や労働環境の解明を試みた。例えば、企業は職位と給与でインセンティブ設計を行うが、坑内管理職や専門職と熟練炭鉱労働者の給与を同じ水準にしていた。これにより、管理職でないポーランド人も同等の給与を得ることができた。また、住環境もフランス人と同じように整えることにより、特に最終年度には、ポーランド人炭鉱労働者を取り巻く社会的状況について、明らかした。つまり、祖国ポーランド政府との関係、炭鉱会社、労働組合、共産主義、第二次世界大戦など、重層的で複合的な分析を行った。具体的には、組合活動や文化活動、ナチスへの抵抗運動がその後の帰化にどのような影響を与えたのかについて、考察した。 ④これらの研究成果は学会や研究会にて報告を行った。
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