2020 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
19K13778
|
|---|
| Research Institution | Nagoya City University |
|---|
Principal Investigator |
余合 淳 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50736808)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 働き方の人事管理 / 労働時間 / 勤務形態 / キャリア / 女性活躍推進 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，近年の日本企業における多様な人事施策の実態を把握し，従業員の受容する公正で倫理的な処遇について検討する。近年の法改正等の社会的背景から企業が実施する人事施策についても多様性が見られる。そうした種々の人事施策の機能性や効果について，学際性を持った文献研究と，組織での実際を調査した分析結果から，理論的・実証的な研究を行う。具体的には人的資源管理論や組織行動論の観点から，日本企業の人事管理制度を概念整理し，関連する諸分野の知見も考慮した上で実際の制度とこれに対する従業員の受容のメカニズムを解明する。理論モデルを実証的に示し，多様な人事施策と従業員の受け止め方に関
する理論構築を目指すものである。
2年目は，初年度に引き続き文献調査，文献渉猟を基礎とした概念的検討が中心に，働き方にかかわる人事管理の機能と効果について，既存の質問紙調査をもとにした探索的分析および女性の就業継続の観点から，専門職のキャリアに関しての定性的研究を行った。また，既存のデータの再分析を通じて，ワークライフバランスの観点から，人事管理の公正性についての実証的な検討も加えて実施した。研究の結果，ワークライフバランスに関する葛藤（コンフリクト）と組織的公正は負の関係性にあり，先行研究で想定されていなかったワークライフバランスに関する人事施策は，公正性を構成する重要な因子であることが示唆され，今後はとりわけ個人属性や個々の就業形態の希望の影響を考慮した上でのモデル改善の必要性が示された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経営学や本研究課題に関連する研究領域に関する文献渉猟は予定通りといえるが，先行して実施する予定であった企業へのヒアリング調査や質問紙調査については，コロナ禍で調査自体が不可能となったり（企業の業績悪化の影響），ヒアリングの形態が見直され必ずしも十分な量の情報が入手できないといった状況にある。また，学会や研究会への参加についてもすべてオンライン下での最低限の活動に留まっているため，情報収集の機会，最新の研究動向についての把握が一部困難な部分がある。
|
| Strategy for Future Research Activity |
進捗状況，とりわけ実態調査の進捗は必ずしも芳しくないため，調査対象を個別の企業への質問紙調査やビジネスパーソンからのヒアリングといった手段だけにとどまらず，調査会社の保有するモニターを対象とした質問紙調査も並行して検討する。
|
| Causes of Carryover |
当該年度は，すべての出張および研究調査が実施不可能となったため，旅費や謝金といったものの予算が軒並み執行されない結果となった。このため，次年度に繰り越しされる金額については，とくに研究調査への支出を計画する。ただし，県外への学会・研究会への出席や現地調査といったものは，新年度開始時点で所属大学が認めていない現状にあるため，モニター調査会社などの活用も含め，当初の研究計画を遂行する上でやむを得ない代替的措置についても積極的に検討する。当初予定額よりも大きいため，調査の範囲を広げたり，調査の項目を追加的に検討することによって適切な予算執行に努めるものとする。
|
