2019 Fiscal Year Research-status Report
デザインイノベーションと技術イノベーションの同時追究の課題及び克服方法の実証研究
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19K13779
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
秋池 篤 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (90758864)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デザインイノベーション / 技術イノベーション / デザイン・マネジメント / イノベーション・マネジメント / 経営戦略論 / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は「デザインイノベーションと技術イノベーションを企業が同時に追求した際に生じる課題の導出とそれに対する解決方法を検討すること」である。上記の目標を達成するため2020年度は事前の研究計画に基づき、共同研究者と企業を対象としたインタビュー調査を中心に定性的調査を進め、課題の導出や解決方法に関する仮説の検討を進めた。その結果、2つのタイプのイノベーションを同時に追求した際に生じる問題及びそのような課題に対する企業の対応について定性データを収集することができた。また、このようなインタビューデータの収集と同時に当該分野に関する先行研究の収集も進め理論的な考察も深めることができた。これらの成果は2021年度以降につながるものである。また、2020年度においては上記のような事前に設定した研究計画に基づいた研究に加えて、技術イノベーションが進展していく中での、デザインイノベーションの創出パターンについて、日本の携帯電話意匠データおよび特許データを用いた分析を進めた。その結果は、英語論文として公刊した(Akiike et al., 2019)。この成果は本研究の議論をより充実させる可能性を有しており、実績として有意義なものであるといえよう。以上のように、2020年度については、事前の研究計画を進めると同時にデザインイノベーションの特徴についてより深く分析することができた。 参考文献:Akiike, A., Yoshioka-Kobayashi, T., & Katsumata, S. (2019). The dilemma of design innovation: Analysis of mobile phone's design patent. Annals of Business Administrative Science, 18(6), 209-222.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度においては、研究実績の概要で記載したように、当初の研究計画であったデザインイノベーションと技術イノベーションの同時追及時に生じる課題や解決方法の探索について企業へのインタビューなど定性調査を実施することを通じて、データを蓄積することができた。この結果から、2020年度については当初の計画をおおむね満たしたといえよう(ただし、今後論文化していく中で追加インタビューなどを実施するなど補足が必要な部分が生じる可能性は存在する)。また、2020年度においては、研究実績の欄にも記載した通り、日本の携帯電話産業を対象にデザイン創出のパターンに関する論文も公刊することができた(Akiike et al., 2019)。この成果については、2021年度以降の研究を充実させるものであろう。以上のように、2020年度は事前の研究計画に基づいて遂行し、一定の成果を得られていると同時に「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。 参考文献:Akiike, A., Yoshioka-Kobayashi, T., & Katsumata, S. (2019). The dilemma of design innovation: Analysis of mobile phone's design patent. Annals of Business Administrative Science, 18(6), 209-222.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について検討する。2021年度においては、2020年度に実施した企業のインタビュー調査の結果から得られた知見をまとめることに加えて、技術イノベーションとデザインイノベーションの同時追及のための効果的な方法に関して、定量的な分析を実施する予定である。2020年度の研究計画は概ね順調に遂行することができたため、2021年度の研究計画については大きく変更はない。そのような中で、2021年度においては、研究計画をより効果的・効率的に遂行していくために、オンラインでのミーティングを定期的に実施することで、共同研究者と当該研究に関する議論を深めていきたい。定性的な調査については、論文化に向けての議論を共同研究者と進めたい。定量的な調査については、事前にデータ収集や分析モデル検討の部分で議論を深め、頑健性の向上を図りたい。以上のような共同研究者とのオンラインミーティングの定期開催を、研究計画推進のための方策として考えている。そして、もし早い段階で議論をまとめることができた場合、2022年度の研究計画である研究成果の公表に向けて、先行的に研究報告などを実施していきたい。
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