2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Developing Managerial Skills: Lessons From Hitachi & Mitsubishi Electric
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19K13780
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
長谷部 弘道 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (40781282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 企業内教育 / 経営者教育 / タレントマネジメント / 人的資本 / 経営史 |
Outline of Annual Research Achievements |
『日立製作所の幹部候補生教育の制度と実態』というサブテーマを掲げ、研究活動を遂行した。ここで予定していた研究活動は次の4点であった。第一に、日立製作所の幹部候補生教育の制度史資料の整理(具体的には日立総合経営研修所設立前後の関係者に関する資料)、 第二に、日立製作所人財部へのインタビュー実施(現状の日立製作所における人事施策の調査)、第三に、日立製作所元幹部へのヒアリング、 そして第四に工場訪問であった。 このうち、第一の点については、概ね予定通りに実施することができた。経営研修所設立にかかる関係者の資料に加え、各工場において編纂されている工場新聞の縮刷版のアーカイヴ化が進み、とりわけ各事業所における工場長の入替りの前後についての情報収集が可能となった。第二の点については、実際に人財部の方にヒアリングを実施し、その人事施策のグローバル化対応について説明を受けた。第三および第四の点については、元工場関係者同伴のもと、山口県下松市にある日立製作所笠戸事業所を訪問し、現在の事業所長をはじめ、総務部の方々にヒアリングを行った。現地では、同伴した元工場関係者および現工場関係者へのヒアリングに加え、笠戸事業所に保管されていた同事業所の工場新聞のバックナンバーを提供いただいた。同資料は他の工場新聞とは異なり、縮刷版資料として出版されておらず、希少資料の収集という点でも貴重な機会となった。 以上の研究活動を通じて、日立製作所の幹部候補生教育の制度変遷の詳細に関するデータを蓄積したことに加え、経営者教育のバックグラウンドにある個別の事業所内の工場経営実態について、多くの情報を得ることができた。これらの資料調査に基づく研究成果は、論文としてまとめ、令和2年度内の研究雑誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で設定した (1)日立製作所の幹部候補生教育の制度史資料の整理 (2)日立製作所人財部へのインタビュー調査の調整・および実施(現状の施策について) (3)日立製作所元幹部へのヒアリングの実施、(4)元幹部案内による工場訪問という4点全てにおいて、『研究実績の概要』で述べた実績を出しており、令和2年1月頃までは順調な進展をみせていた。しかし、令和2年2月の論文執筆時期に入り、コロナウイルスの蔓延の結果、補完的な追加調査を中止せざるを得なくなり、成果としての論文執筆の計画が翌年度に持ち越されることとなった。とはいえ、計画上のデータはほぼ揃えることができたことから、現在の進捗状況は、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在のコロナ禍の状況下において、前年度中止せざるを得なかった積み残しとなる調査を可能な限り確実に行い、前年度の遅れを取り戻す必要がある。具体的には、リモート会議用のサービスを利用したヒアリングの実施を検討する。 そのうえで、令和2年度は『1960年代から2000年代における日立製作所の人事制度の変遷と教育』というサブテーマで研究活動を遂行していく。具体的には、前年度集中的に資料収集を行った日立製作所の幹部候補生教育に影響を及ぼしてきたと考えられる人事制度の変遷をめぐる資料収集および分析を、労組元幹部へのヒアリングを交えながら執り行う。主な調査の項目は次のとおりである。第一に、日立製作所労働組合元幹部へのヒアリング、第二に人事施策に関する資料提供交渉と実際の資料収集、国会図書館等での既存資料の発掘・整理。第三に、前年度に収集した資料やヒアリングデータをもとに、日立製作所の経営者教育についての成果公表である。 なお、当初報告を予定していた世界経営史会議は、コロナ禍の影響で翌年度に延期となったため、学会報告は国内で開催計画が継続している学会にて行うこととする。前年度に集中的に行った資料収集の蓄積があることから、これらを積極的に活用しつつ、コロナ禍の影響下にあっても、着実な研究遂行を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初研究計画では、初年度に海外学会(Business History Conference)での報告を想定していた。しかしながら、研究スケジュールの関係からこの計画の実施見込みが立たなくなったため、この海外学会での報告の応募自体を翌年度に繰り越すこととした。このため当該次年度使用額については、海外学会での報告のための旅費として、これを使用する予定である。
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Research Products
(1 results)