2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K13787
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
余合 琴絵 (小西琴絵) 東海学園大学, 経営学部, 助教 (30781489)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 時間(的)展望 / 意思決定 / キャリア / 内省 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,今後さらに多様化が進む人材のマネジメントや従業員のメンタルヘルス対策として新しい提案を行うために,個人が感じる時間認識(=時間展望)に着目し,この個人の持つ時間展望の違いと,彼らの組織内における態度や意思決定との関係性について理論的,実証的に明らかにしていくことである。 この研究の初年度である2019度は,既存研究の理論や枠組みにおいて,個々人の持つ時間認識が個人の行動や意思決定にどのように影響を及ぼすのかといった課題を中心に,時間展望概念のさらなる検討と,組織内での個人の意思決定との関係性について仮説構築や質問紙調査実施のための文献研究を行うことであった。そして2020年度は,前年度の文献研究を踏まえたうえでインタビューによる仮説構築と,仮説に基づいた本調査を実施予定であった。しかし,前年度報告書でも記した通り,2019~2020年度は産前産後休暇及び育児休暇を取得(約10か月)した関係で計画が大幅に遅れている。しかしながら,これらの遅れを挽回しさらに充実した研究とするなるための様々な進歩があった。 2020年度の結果としては,2020年度は9月から職場復帰を果たしたのち,前年度の研究進捗を整理し確認しながら,改めて投稿論文の執筆にとりかかった。これは,2019年度投稿した学術論文が採択されなかったため,研究フレームワークや分析を再度検討し執筆したものである。これ以外の具体的な成果(インタビューの実施や学会発表など)を提示するまでには至っていない理由については「進捗状況」にて記載する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は①育児休暇の取得と復帰後育児,②コロナ渦をと言う2点を理由に進捗状況は遅れている。 まず①について説明するために研究代表者の状況について記載する。代表者は,2019年12月上旬に出産し,その前後に産前産後休暇,2020年2月~9月までは育児休暇を取得していた。このことから,休暇期間中の研究は滞っており,研究全体の進捗が遅れている。また,復帰後も子供の急な急病(日常的な風邪や入院(約1週間))などの予期せぬ事態の対応に追われており,研究が計画通りに進まなかった。 次に②による研究への影響について説明する。まず,2020年度は海外学会(チェコで開催予定の国際時間展望学会)での発表を計画しておりすでに申し込みも行っていた。しかしその学会が中止になったことが大きい。また,予定していた企業におけるインタビューや調査も企業の方針転換により中止になった。 これら2点の理由として,研究の進捗状況は遅れていると判断した。なお,2020年度に行った主なことは①文献研究,②データの再分析,③投稿論文の執筆である。これらが成果として表に出てくるのが2021年度あると考えられる。また,時間展望の国際比較研究を実施するべく計画が進行しているため,20201年度は研究の進捗状況は改善されると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,調査の継続と研究成果の発表に注力していく。 まず調査の継続については,今年度後半に社会人の時間展望に関する大規模なアンケート調査を国内(調査会社を使用),国外(ベトナム,現地協力者あり)にて実施する予定となっている。現在調査のための分析フレームワークや調査項目の検討を行っている。コロナ渦と言うこともあり,直接会ってのインタビューや現地に行っての調査が難しいことから,Webなどを使いアンケート調査を行う予定である。ベトナムの現地協力者は,今年3月に神戸大学大学院経営学研究科を修了した女性で,現在はベトナムの大学にて教職についている。彼女の協力のもと,日本とベトナムのビジネスパーソンの持つ時間認識の違いと彼らの行動や態度の違いを調査する予定である。本報告書を作成している5月現在は,この調査に向けたリサーチデザインを設計しているところである。そして,国内における大規模なアンケート調査は過去に使用実績のあるWeb調査会社を通じてアンケートを実施予定である。今回は,コロナ渦により広がりつつあるテレワークに対する認識や態度など現代的な興味関心をアンケート項目に加えることでより実践的な意義を見出せる調査としたいと考えている。 次に研究成果の発表としては,2020年度に執筆した投稿論文の査読結果が出ることや,国内学会での発表をすることを意味している。さらに,国際比較研究についても調査レポートや論文として成果物を作成する予定でいる。 このことから,今年度の研究進捗状況は過年度と比較して大幅に改善されると考えられる。なお本報告書提出後に,研究期間の1年延長を申請予定である。今年度来年度と合わせて研究成果を論文や学会発表として残していきたい。
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Causes of Carryover |
差額が生じた大きな理由は,海外学会での発表機会と国内出張がなくなったためである。 まず海外学会についてであるが,毎回偶数年に海外(主にヨーロッパ)で開催されていた国際時間展望学会が,2020年8月チェコでの開催を中止したために旅費(航空機代,滞在費)や発表資料や論文の英文校正で使用予定であった費用を全く使わなかった。また,国内出張については,国内での学会発表への参加や企業へのインタビュー等の調査で使用する予定であった費用(主に交通費)を使わなかったためである。これらはどちらもコロナ渦による影響であり,研究計画時点では把握できなかったことである。 2021年度はこの経験を生かして,交通費で考えていた予算を調査や文献の購入等に充てる予定である。
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