2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13787
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Research Institution | Suzuka University |
Principal Investigator |
余合 琴絵 (小西琴絵) 鈴鹿大学, 国際地域学部, 講師 (30781489)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間(的)展望 / 意思決定 / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,多様化が進む人材のマネジメントや従業員のメンタルヘルス対策などとしての新しい提案を行うために,個人が感じる時間認識(=時間的展望)に着目し,個人の持つ時間的展望の違いと,彼らの組織内における行動(態度)や意思決定との関係性について理論的・実証的に明らかにしていくことである。 研究初年度である2019度は,既存研究の理論や枠組みにおいて,個々人の持つ時間認識が個人の行動や意思決定にどのように影響を及ぼすのかといった課題を中心に,時間展望概念のさらなる検討と,組織内での個人の意思決定との関係性について仮説構築や質問紙調査実施のための文献研究を行うことであった。そして2020年度は,前年度の文献研究を踏まえたうえでインタビューによる仮説構築と,仮説に基づいた本調査を実施予定であった。そして,最終年度予定であった2021年度は国内で学会報告を行いながら投稿論文を仕上げる予定であった。 しかし,過去の報告書でも記した通り,2019年度後半~2020年度前半に産前産後休暇及び育児休暇を約10か月取得し研究から離れていた期間がある関係で計画が大幅に遅れ,さらに2022年度まで研究期間を延長している。 昨年度後半より再開した本研究は,遅れを徐々に挽回しながら,さらに充実した研究とするための様々な進歩があった。特に2021年度は,前年度の研究進捗を整理し確認しながら,研究フレームワークや調査設計を検討した結果,調査を1回行い,学会報告(国内)を行った進捗や成果については,「現在までの進捗状況」にて詳細に記載する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の進捗状況は,過去2年間と比較すると改善しつつあるが,研究全体から考えると「やや遅れている」状況である。 まず2021年度に行った主なことは,①文献研究,②研究フレームワークの再検討,③調査④学会報告である。①と②は,同じく時間的展望概念に興味があり研究を進めている研究者と,時間的展望概念や行動や認識の変化がどの様に表れるかについて深く議論を行った。その結果,大規模な調査を実施する前にサンプル数の小さい調査を行い,その結果を踏まえて調査項目等の検討を行った方がよいことがわかった。そこで,1月に実施したアンケート調査では,所属研究機関の大学の学生(1-4年生),約70名(日本,ネパール,ベトナム,中国)を対象として,「インターンシップ経験の有無」と「時間的展望の違い」について調査を行った。そして,その結果を2月に実施された国内学会で共同にて報告を行った。 2019年度,2020年度は具体的な調査や学会報告等が行われなかったため,そこと比較すると研究は進んでいるが,本研究の目的である社会人に対して調査が進んでいない点を鑑みるとやや遅れいている状況である。本来であれば,昨年度学生に対して実施したような予備的な調査は2020年度前半に実施予定であった。しかし,過去の報告書でも記した通り,産休育休による研究中断により大幅に遅れての実施しとなった。この点が本研究の進捗が進まなかった理由であると考える。しかし本年度は,予備的な調査をすでに実施しており,比較的円滑に本調査を実施可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度であるため,さらなる調査の継続と研究成果の発表に注力していく。 まず調査の継続については,昨年度1月に実施した学生向けのアンケート調査を改善し,社会人の時間展望に関する大規模なアンケート調査を国内外にて実施していく予定である。特に国内の調査に関しては,8月を目途に調査項目を選定し所属研究機関にて倫理審査委員会に申請予定である。現在は調査のための分析フレームワークや調査項目の検討を行っている。国内における大規模なアンケート調査は,過去に使用実績のあるWeb調査会社を通じて実施予定である。さらに過去2年間とは違い,コロナの状況も落ち着きつつあると考えられるので,直接会ってのインタビューも可能であれば実施したいと考えている。今回は,コロナ渦により広がりつつあるテレワークに対する認識や態度など現代的な興味関心をアンケート項目に加えることでより実践的な意義を見出せる調査としたいと考えている。国外での調査については,昨年度から引き続きベトナムの現地協力者と共同で日本とベトナムのビジネスパーソンの持つ時間認識の違いと彼らの行動や態度の違いを調査する予定である。 次に研究成果の発表としては,すでに時間的展望の質問項目の検討についての実証論文時を投稿済みであり,その審査結果を待っている状態である。さらに本年度後半(11-1月頃)には,所属研究機関での研究発表会へ参加予定である。これら以外にも国内の学会にて調査結果を発表をしていく予定である。さらに,国際比較研究についても調査レポートや論文として成果物を作成していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
差額が生じた大きな理由は,調査会社を利用しての大規模調査を実施しなかったことと,国内出張がなくなったためであると考えられる。 昨年度は,調査会社に依頼しての大規模調査ではなく予備調査として所属研究機関の大学で大学生を対象とした調査を実施した。この調査はWebを通じて配布~回収までを行っているために印刷等の費用も一切かからなかった。また国内内出張については,昨年度同様に国内での学会への参加や研究打合せで使用する予定であった費用(主に交通費)を使わなかったためである。これらはコロナ渦による影響であり,研究計画時点では把握できなかったことである。 2022年度は,9月に大規模調査を実施y亭であるためい,この経験を生かして,交通費で考えていた予算を調査や文献の購入等に充てる予定である。
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