2020 Fiscal Year Research-status Report
Support acquisition behavior patterns of intra-preneurs
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19K13790
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒澤 壮史 日本大学, 商学部, 准教授 (10548845)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社内起業家 / イントラプレナー / イントレプレナー / 権力 / 組織ポリティクス / イシューセリング / プロアクティブ行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な事情により未だ研究業績という形では発表できていないが、当該研究期間において行ってきたことは文献調査とインタビュー調査である。文献調査の中で明らかになりつつあるのは、社内起業家の研究が国際的に一貫性を持った形で研究が行われておらず、用語さえも統一されずに用いられているという、研究状況が未成熟であるという実態が明らかになりつつある。今後の研究を発展させていくために挑戦する余地が大きいことが確認できている。その中でも、社内起業家研究と起業家研究の分断について焦点を当て、起業家研究の知見を活かしながら社内起業家の研究に応用していくという視座が必要であると考えられる。 また、研究計画の中で予定していた権力論の理論的研究との関連性についても道筋をつけつつある。先行研究の中では社内起業家の研究としても権力論の研究としても両者が結び付けられることはないため、学問上の意義と社会的な意義について示していくことが可能であると考える。また、研究計画にもあるようなイシューセリング行動と関連付けた社内起業家の行為戦略についても調査の中で明らかになりつつある。文献調査に関する成果報告も近く発表していく予定である。 インタビューについては、これまで10名を超える社内起業家や社内起業家や社内起業家に関係する人物への聞き取りを行ってきた。その中で、研究計画時に想定していた状況がより鮮明に明らかになりつつある。こちらについても、近く研究成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属先の変更や新型コロナによる職場の環境変化や調査対象の環境変化により、想定よりも研究の進捗は大幅に遅れてしまっている。 文献調査については現在のところ、権力論と社内起業家研究について進めているところである。権力論については機能主義的な伝統に基づく社会的影響力の研究と批判的研究の伝統に基づくクリティカルな権力論に大別され、どちらも研究上の射程に収めながら文献調査を続けている。 社内起業家研究は、国際的にもまだ未成熟な領域である。用語についても「corporate entrepreneur」、「intrapreneur」、「intrepreneur」 など一貫性がなく、研究成果についても統合的な蓄積が見られない。そのため、文献調査については想定よりも時間をかけているところである。 定性的調査については、インタビューをここまで10名程度の事業開発担当者や関連するスタッフ部門の人材に行ってきた。新型コロナの問題がありインタビュー調整が難航した時期もあったため遅れはしたが、順調に推移している。インタビューを通じて研究計画に変更はないものの、定量的調査に向けて追加すべき変数が浮かび上がってきたため、それらの概念に関する追加的な文献調査などにつながっている。 上記ただし、期間については遅れが生じているものの進捗自体を妨げる深刻な現象が起きている訳ではないため、スケジュールを加速させていくことで遅れを取り戻していくことが必要であり、また可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
スケジュールには問題が生じているものの、計画そのものには変更が迫られる状況にはない。そのため、今後はこれまでの調査内容の精査とアンケート調査の実施、統計分析、といった形で展開していく予定である。 スケジュールの問題については対応策として研究協力者を招聘するということも考えている。インタビュー調査を通じて、当初考えていたよりも現象を明らかにするための因果関係について変数を追加する必要性を感じているところである。しかし、変数の追加は単に質問項目の追加ではなく理論的バックグラウンドの拡張も意味するため、該当する領域に精通した研究者と共同しながら進めていくことの方が質的にも効率性という観点からも有効であろうと考えている。 今後の展開としては、ここまで行った文献調査の成果報告、定性的調査の成果報告、定量的調査の実行、が当面行うべき点である。定量的調査については先述したように変数・概念を拡張しながら外部の研究協力者と連携しつつ進めていくことで本研究プロジェクトをより効果的に推進していけるものと考えている。
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Causes of Carryover |
研究の遅れが生じている点と、予定していた国際学会の報告が新型コロナの問題によってキャンセルになったことが主たる理由である。今後は、アンケート調査に費用がかかってくるためそちらで多くの出費を必要とする予定がある。 また、国際学会などの海外出張については目処が立っていないため、論文の翻訳・ネイティブチェックなどを通じて代替していくことを考えている。
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