2020 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける人材移動に伴うナレッジスピルオーバー阻害要因に関する実証分析
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19K13793
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Research Institution | Japan University of Economics |
Principal Investigator |
藤原 綾乃 日本経済大学, 経営学部(渋谷キャンパス), 准教授 (80755976)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション / 人材流動化 / 科学技術人材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバルな知識移転の観点から、R&D人材の国際移動がナレッジスピルオーバーに与える影響及び外部人材を活用した知識獲得に資する人材マネジメントの在り方を明らかにすることを目的とするものである。具体的には、研究者人材の流動化について、特許データ及び論文、グラントデータを接続し、分析を行っている。このような研究によって、国際移動したR&D人材について、移動技術者は各国のイノベーションにどの程度影響を与えたのか、また効果的なR&D人材のマネジメントとは何かを明らかにすることが期待されている。実際の研究手続きは以下の通りである。まずは、特許、論文、グラントの3つのデータソースの中から必要な情報を抽出し、データセットを構築すること、その際には同姓同名などの問題に対処するため名寄作業等を行い、必要なデータと誤データとを振り分けていくことになる。そして最後に、統計分析を行うという流れである。 対象は電機分野、半導体分野の2つの分野を設定している。電機分野に関しては、主に日本企業及び日本の大学から中国企業への研究者人材の移動を特定し、その傾向を分析している。半導体産業に関しては、日本に限定をせず、世界中の研究者の中でも特に実績の高いトップランク研究者の移動を追跡している。移動前、移動後の所属組織や前後でのパフォーマンスの変化などについて観察を行った。分析の結果をまとめることで、人材移動を介したナレッジスピルオーバーに関する国際比較につき実証的証拠を提示する事ができるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特許データベースと論文・グラントデータなどを接続する必要があるため、膨大なデータ処理を必要とするが、データ整備は概ね順調に進み、研究は当初の計画通り概ね順中に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、分析に適した形にデータセットを構築し、分析を行う作業に進んでいくことになる。本研究では膨大なデータソースを用いたため、データセットの構築にもそれなりの時間を要することが見込まれ、その作業を進めながら、論文執筆や国際学会での発表準備等を勧めていくことになる。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、当該年度は国際学会等に複数回出席し、研究発表及び情報収集を行う予定であったが、コロナ禍でオンラインに切り替わったため、渡航費(旅費)が不要となったため、当初の予定との差額が生じた。現時点で、すでに複数の国際学会で論文が採択されており、今後発表を行う予定であるので、プロシーディングスとしてそれらが公表されるほか、それらに学会で得られた助言等を反映させた形で論文として公表を目指している。次年度は、論文等を複数投稿することを予定しており、英文校正等に予算を使うことを計画している。
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