2021 Fiscal Year Research-status Report
Resource Procurement Model of the Managers of Social Business and Community Business in disadvantaged areas
Project/Area Number |
19K13795
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中尾 公一 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (60807098)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 条件不利地域 / ソーシャル・ビジネス / コミュニティ・ビジネス / NPO / 過疎地 / 起業家 / 財務分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は総務省の「条件不利地域」関連法適用地域で活動する、ソーシャル・ビジネス/コミュニティ・ビジネス(SB/CB)の起業家・経営者やその資源提供者に対する訪問調査を、文献調査とともに定性的に分析し、SB/CB経営者の資源調達に際する、コーゼーション(将来の不確実性を極力少なくし、目的をたてその実現方法を逆算して考えること)、ブリコラージュ(即興で何とかすること)やエフェクチュエーション(将来の不確実性を受け入れ、関係者と実行可能な手段を探ること)等の、思考・行動様式を解明しようとするものである。 今年度は、①前年度に行った訪問パイロット調査を元に、ケース・スタディに関する査読付論文を1本、②条件不利地域にのCBに関するレビュー論文(招待論文)を1本刊行した。また③条件不利地域のNPOのエフェクチュエーション・コーゼーションに関する調査結果をまとめた定性的な論文を国際誌に投稿し査読を受けている。さらに④前年度作成した芸術系NPOの財務状況NPOのデータ・ベース(DB)を活かした学会発表準備を行い次年度に発表予定である。⑤条件不利地域にのNPOに財務分析の論文は国際誌から査読を受け、再投稿の準備を行った。⑥また新たな事例についてのパイロットの聴取調査を開始している。 しかしながら新型コロナ禍のデルタ株やオミクロン株の流行の影響で、当初想定していた訪問調査の実施が極めて困難となったことに加え、代表研究者の異動準備もあり、全体として当初の研究計画の実施延期や変更を余儀なくされている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ禍の変異株の影響で、本研究の主な調査方法である訪問調査が極めて難しくなるなど、研究実施を行う社会的な環境が整いにくかったため。 新型コロナウィルスのデルタ株やオミクロン株の流行に伴い、研究代表者が勤務する兵庫県は緊急事態宣言が発出された地域となった。感染拡大防止の観点から県外出張等の自粛が求められる等、訪問調査の実施が極めて難しい状況となった。 また調査予定先のNPO等も、コロナ禍の影響でその運営等が多大な混乱期にもあったものとも推察した。このような状況下で、研究代表者の研究のために、広域移動を伴う訪問調査を行い、万が一自他ともに感染を広げることとなった場合には、社会通念上も、研究倫理上も、本研究の妥当性も疑問符に付されかねないと考えた。その結果、大変不本意ながらも研究の進捗が遅れることとなった。さらに研究代表者の異動準備の関係で、年度末の機会を活かした調査も行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ禍に関する状況の予断を許さないが、過去2年間に比べ行動制限が徐々に緩和されつつある。その一方で研究代表者の異動に伴い、教育等へのエフォート増加や、所在地や全国各地の過疎地へのアクセスも含め、地理的条件にも変化が生じている。 まずは異動後の職務が落ち着いた段階から、①芸術系NPOの財務分析の学会発表と論文投稿、②条件不利地域のNPOの財務状況の論文の再投稿を行う。③条件不利地域のNPOのエフェクチュエーション・コーゼーションに関する論文は必要に応じ査読対応を行う。また順次、④近隣地域の条件不利地域のNPOやCB/SBに関わる企業等を探索し、同意を得られたところから訪問調査を実施し、さらに協力が見込める場合には、⑤本来の研究目的であった、条件不利地域のCB/SBの運営者とその資源提供者の双方からの聴取調査と成果発表につなげていきたい。 なお新型コロナ禍や異動後の職務状況は依然として不透明である。場合によっては、所期の目標とされていた研究成果の発揮は見込めない事も予想される。その場合には研究年度の延長も視野に入れた上で、可能な限り、所期の研究成果を出せるよう努めていくこととしたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大と、それに付随する累次の緊急事態宣言等の発出に伴い、今年度に行う予定であった、すべての国内外の出張を見合わせたため。 訪問調査が滞ったことで、旅費の執行や調査によって得られた音声データのテープ起こし費用の執行が滞った。さらに国際学会を念頭に計上していた海外出張旅費の執行も見送られた。その結果、次年度使用額が生じた。 使用計画については、次年度も新型コロナ禍の状況等を見極めつつ、国内出張実施の可否を見定めていく。国際学会発表で予定していた海外出張費用に関しては、今後も海外出張が困難な状況が続く見通しが高いことから、国際学会誌投稿に必要な英文校正費・投稿料、さらには文献の購入等への充当を検討していく。 今後の使用計画に関しては、新型コロナ禍とそれに伴う行動制限、さらに異動先の職務負担の予測がつきにくいが、可能な範囲で研究を進めることとし、所期の成果を収められるか否かを慎重に見極める。やむを得ず研究期間の延長も視野に入れることも検討していくこととする。
|