2023 Fiscal Year Annual Research Report
経営者の時間志向性が企業多角化に与える影響についての実証研究
Project/Area Number |
19K13796
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
加藤 崇徳 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (70801992)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時間志向性 / 企業多角化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,経営者の時間志向性(長期志向性・短期志向性)が企業多角化に与える影響を実証的に検討することにある.本研究では,経営者の時間志向性を,従来の研究でよく用いられているletter to shareholders(「株主の皆様へ」)ではなく,アナリストと経営者の直接的な対話内容であるEarnings Call Transcriptを利用したテキスト分析によって測定する.これによって,経営者自らが記述したわけではない内容を分析するのではなく,彼ら自身の発言内容を分析でき,経営者の時間志向性尺度をより妥当に測定できるようになると考えられる.測定を終えた後は,経営者の時間志向性が,経営者による重要な意思決定の1つである企業多角化の程度にどのような影響を与えるのかを検証していく. 2023年度に行った活動は,作成したデータベースの修正作業である.これまでに構築した経営者の時間志向性についての変数修正作業である.これまで,S&P社のCapital IQから入手した2008年以降のEarnings Call Transcriptを入手し,総行数2300万行弱のテキスト・データベースの作成を行なった.各テキストの発言時期(年度と四半期)と発言者(CEO・役員・アナリストなど)を特定するプログラムを作成したものの,Capital IQ社のオリジナルデータに幾つかの重要な誤りが生じていることが発覚した.具体的には,発言者の役職記載ミスである.2008年時点ではCEOであった人物の役職が,Advisorとなっていたり,当時はまだCFOであった人物の役職がCEOと記載されていたりした.誤記載の頻度も高いことと,誰が発言した内容かというのは,換言すれば誰の時間志向性を測定しているかに直結してしまうほど大きな問題であったため,この役職ミス修正作業に多くの労力を投入することとなった.
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