2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13798
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 諒 早稲田大学, 総合研究機構, 次席研究員 (90801283)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カテゴリ / メンバーシップ / メンバーの多様性 / 初期の成功 / 多様性に対する信念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、あるカテゴリに属すメンバーの多様性が当該カテゴリの持続性に与える影響を明らかにすることにある。既存研究の多くがカテゴリの形成プロセスに注目してきたのに対して、本研究の主眼は、カテゴリ形成後のプロセス、すなわちその成長や衰退といったプロセスにある。2020年度には、既存研究のレビュー作業に加え、新たなリサーチ・サイトの探索を行った。2019年度に実施したレビュー作業は、リサーチ・ギャップを同定することが主たる目的であった。それに対して2020年度に実施したレビューの目的は、仮説の精緻化あるいは妥当性の向上にある。 2020年度に行ったレビュー作業を踏まえて、本研究は、成長機会の知覚に影響する要因として、(1)多様性に対する信念、(2)初期の成功の程度、に注目している。カテゴリの持続性を保つためには、継続的に参入(退出を上回る)が生じなければならない。一方で潜在的な参入者は、焦点カテゴリの成長機会を評価し、それが高く見込める場合に参入の意思決定を下す。したがって、カテゴリの持続性は、潜在的な参入者から知覚される成長機会に依存すると考えられる。上記の前者に関しては、チームメンバーの多様性と技術的成果はポジティブに関係するという信念を抱いている評価者は、当該チームの成功見込みを高く見積もる、という既存研究の知見に基づいている。一方で後者は、成功の基準を少し超えた成功と基準に少し届かなかった失敗を比較した場合、成長見込みに関しては後者の方が高く見積もられるため参入が促される、という既存研究の指摘による。それら2つの要因を考慮した上で、現在は仮説を精緻化している。 2019年度までは学問分野を対象として分析を進めていたが、外的妥当性の向上を目的として2020年度からは新たな分析対象、特に上記(2)の要因を操作可能なセッティングを探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、分析の進捗に応じて研究成果を国際学会にて発表する予定であった。しかし、2020年度には分析を計画通りに進めることができなかったために、成果の発信には至っていない。主たる原因は、新たなリサーチ・サイトに関するデータセットを構築できなかったことにある。2020年度から「マンガのジャンル」を新たな分析対象として取り上げた。しかし、COVID-19の影響から、各作品を参照するために図書館あるいはインターネット・カフェに行くことができなかったために、計画通りにデータ収集を行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなリサーチ・サイトとして、「マンガのジャンル」以外にも探索を進めている。現時点では、YouTube上の動画ジャンルを候補としている。利点としては、カテゴリの誕生から参加者(生産者あるいは消費者)が特定可能な点に加え、COVID-19の影響を受けずにデータの収集が可能であるという点が挙げられる。2021年度は、当該領域を対象にデータを収集し、仮説の検証を行う。研究成果に関しては、国内外の学会にて発表し、そこで得たコメント等を踏まえて、投稿論文として発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では成果報告のために国際学会への参加を予定していた。しかし、COVID-19の影響から参加が実現できなかったために、次年度使用額が発生している。使用するデータが大規模になる可能性があることから、データの処理能力が高いPCの購入を検討している。
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