2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13798
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
谷口 諒 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任講師 (90801283)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カテゴリ / レジティマシー / レピュテーション / ステータス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、あるカテゴリに属すメンバーの多様性が当該カテゴリの持続性に与える影響を明らかにすることにある。既存研究の多くがカテゴリの形成プロセスに注目してきたのに対して、本研究の主眼は、カテゴリ形成後のプロセス、すなわちその成長や衰退といったプロセスにある。2021年度には、関連する研究領域のレビュー作業を行い、学会報告ならびに学術論文(近刊)として成果発信を行った。 レビューは、「組織に対する社会からの評価」に関する研究、具体的にはレジティマシー(正統性)、レピュテーション(評判)、ステータス(地位)といった3概念に関する既存研究を対象に行った。それらの研究群からは、どのカテゴリから派生して誕生したのかが、焦点カテゴリの持続性に影響を及ぼすことが示唆される。新たに生成するカテゴリは、認知的レジティマシーを獲得するためにも、既存のカテゴリとの連続性を確保しなければならない。そこで、ハイステータスな既存カテゴリとの連続性を示すことが、焦点カテゴリにとって有利に働くと考えられる。ステータスの高さに伴う恩恵は、紐帯を通じてスピルオーバーするからである。しかしその一方で、ハイステータスな既存カテゴリとの連続性(紐帯)は、速やかな成長は制限すると考えられる。なぜなら、潜在的な参入者が、生成初期にある焦点カテゴリを評価する際にハイステータスな既存カテゴリを参照点とする可能性が高いからである。したがって、既存カテゴリとの連続性を示す必要がある一方で、必ずしもステータスの高い既存カテゴリとのそれを示すことが、焦点カテゴリの成長を促すわけではないと考えられる。今後は、上記3概念の既存研究に依拠しながら仮説の精緻化をし、実証を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に引き続き、COVID-19の影響から、当初のリサーチ・サイトにおいて十分なデータ収集を行えなかった。新たなリサーチ・サイト(YouTube等)に関するデータについては、ウェブスクレイピングが必要になるため、方法を修得中である。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集に係る問題は、共同研究者を募ることで解決する。共同研究に関してはすでに内諾を得ている。データ収集が完了次第、仮説の実証を行う。研究成果に関しては、国内外の学会あるいはセミナーにて発表し、そこで得たコメントを踏まえて、投稿論文として発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響から、当初の計画通りにオフラインでの学会参加等ができていないためである。使用計画としては,関連書籍の購入やデータセットの構築にかかる費用を想定している.現在計画をしているデータセットの収集にはプログラミング技術が求められる.本研究課題の効率的かつ効果的な推進という観点からすると,プログラミング技術を有した人材にPCを与え,データ収集を行ってもらうことが有効だと考えている.
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