2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K13798
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
谷口 諒 明治大学, 経営学部, 専任講師 (90801283)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知識の深さ / 知識の幅 / カテゴリ / 小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、あるカテゴリに属すメンバーの特性と当該カテゴリの持続性の関係を明らかにすることにある。2022年度は、メンバーの創造性に着目し、既存研究のレビュー、仮説ならびにデータセットの構築を行った。 既存研究のレビュー作業は、知識の深さと幅という観点から、創造性を議論している研究を対象に行った。この作業を通じて、既存研究には、その分析対象から生じる傾向ゆえに、変数化ならびに分析にバイアスがかかっているという課題を特定した。既存研究は、特許や学術論文など、メンバー間の協働が発生する領域を分析対象とし、過去の成果物のカテゴリを以て、あるメンバーの専門性(ある領域における知識の深さ)を評価してきた。しかし、メンバー間の協働を通じて生まれた成果物である場合、そのカテゴリは、必ずしも各メンバーの専門性を反映していないため、その推定にバイアスをかけてしまう。 そうした問題に対処するため、本研究は、「小説家になろう」という小説投稿サイトを使い、データセットを構築した。小説という生産物の性質上、生産活動において協働は発生しづらい。この特徴により、本研究のデータセットは、上述のバイアスを除去し、個人の知識の深さと幅を評価したものとなっている。 現時点では、あるカテゴリに関する知識の深さと、そのカテゴリと成果物の産出先であるカテゴリの関係(近いか遠いかなど)に着目を構築している。2023年度以降は、その仮説を精緻化し、上記のデータセットで検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度からCOVID-19の影響により、当初の計画通りのデータセットを構築できていたなかった。それに対して2022年度は、かねてより進めていたレビュー作業をもとに、既存研究が抱える課題を克服できる新たなデータセットを構築できた。加えて、その作業過程で、仮説のフォーカスも定まったため、検証に必要な作業は概ね完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説の精緻化を進め、構築したデータセットにて検証を行う。その成果は、2023年度中に論文化し、国内外の査読付き学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響から、当初計画通りの対面での学会参加等ができていないため、繰越が発生している。当該繰越分は、2023年度中にそれらの目的を中心に支出する予定である。
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