2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13798
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
谷口 諒 明治大学, 経営学部, 専任講師 (90801283)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カテゴリ / メンバーの専門性 / スペシャリスト / コンテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カテゴリに属すメンバーの多様性、特に専門性で見た多様性が当該カテゴリの持続性に与える影響を明らかにすることであった。研究期間全体を通じて、既存研究のレビューをもとに現象に対する理論的理解を深め、日本のweb小説のデータをもとに実証的に現象理解に取り組んだ。 既存研究のレビュー作業から明らかになった主な点は、(1)メンバーの多様性とカテゴリの持続性に関して対立する理論的予測が導出されること、(2)専門性をもってメンバーの多様性を捉える既存の方法に限界があることである。本研究では、後者の問題に対処するために日本のweb小説を分析対象とし、2023年度にデータセットの構築ならびに分析を行った。 本研究が注目したweb小説は、基本的に作者間の協働がないために、単一の作者による生産物という特徴がある。これが、上記(2)の問題に対応できるメリットである。2023年度は、『小説家になろう』というweb小説のプラットフォームからデータを取得し、当該プラットフォーム上で2022年に開催されたコンテストに着目し、分析を行った。その分析で観察された傾向は、(1)単一の専門性を持つ作者、すなわちスペシャリストの作品の方がスクリーニング・プロセスを通過する確率が高いこと、(2)そのスペシャリスト効果はカテゴリ(ジャンル)によっては逆に転じること、である。この結果は、あくまで1次選考に絞ったものであるため解釈には注意が必要であるものの、上記レビュー作業で明らかになった(1)が理論的矛盾ではなく、境界条件の存在を示唆するものである。本成果は、国際誌のワークショップにて報告する予定である。
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