2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on process of sharing frameworks in inter-organizational collaboration
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19K13803
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
松野 奈都子 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (40732475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NPO / NPOと企業のパートナーシップ / 質的研究 / Gioiaメソッド |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に行ったことは、次の2点である。1点目は、NPOと企業のパートナーシップに関する先行研究の追加的なレビューであり、2点目は、NPO団体に対する質的調査である。まず、先行研究の追加的なレビューに関しては、比較的新しい文献を中心に実施した。また、NPOと企業のみでなく、NPOと行政のようにセクターを越えて協力している関係を扱っている文献にもレビューの範囲を広げた。これにより、より本研究の貢献範囲を広げることが可能になると考えている。レビューの成果の一部は、経営戦略学会の報告にて利用した。また、研究を進めていく中で、近年の質的研究に関する議論を踏まえて、研究手法について再検討する必要が生じた。そこで、本研究課題が採用している少数事例の質的研究に適していると言われている、Gioiaメソッドに関する研究をレビューし、その特徴や方法等について整理した。この点に関しては、研究ノートとして公表した。次に、NPO団体に対して聞き取り調査を実施した。当該NPOに対しては、2018年度から継続して調査を実施している。今年度は、昨年度執筆した論文にてその適用可能性を検討した、アクターネットワーク理論の視点からの調査を中心に行った。具体的には、他組織に協力をあおぐさいに、NPOがどのような働きかけを行い、彼らの協力を取りつけたのかという点に注目した。これにより、組織間での解釈枠組みの共有のための取り組みについて追加的なデータを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は質的調査を実施することはできた。しかし、新型コロナウイルスの影響を受けて、地域住民といったNPOメンバー以外の人に調査をすることはできなかった。したがって、質的データの収集は計画通りに行うことができていない。したがって、本研究課題はやや遅れていていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、先行研究のレビューと質的調査を行う予定である。 まず、2021年度の研究から、ネットワーク論を用いた先行研究に関するレビューの必要性が明らかになった。これまで、パートナーシップの研究において主要な理論であった資源依存理論に関しては十分なレビューを行なってきたが、ネットワーク論に関してはレビューが不十分であるため、本年度実施する予定である。これにより、本研究の重要性をより高めるような結論を導きだせると想定している。 次に、引き続き、NPOに対して調査を実施する予定である。加えて、本年度は、別のパートナーシップの事例に関しても調査を実施したいと考えている。すでに、本事例に関する二次データの収集には着手しており、今後は聞き取り調査を実施する予定である。これにより、継続事例では十分に明らかにすることができていない、協力関係構築のプロセスが明らかになると想定している。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、インタビュー調査の回数が想定よりも少なかった。また、海外の学会に参加するための旅費も発生しなかったため、旅費として計上していたものの使用額が予定よりも少なくなった。それゆえ、次年度使用額が生じた。2022年度は、既存の調査先のみでなく、新しく調査先を開拓しているため、旅費として使用する予定である。また、インタビュー時間も増えると予想されるため、テープ起こし代に使用する。その他、追加的な先行研究レビューに必要な文献複写、データ分析に使用するPCを購入予定である。
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