2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on process of sharing frameworks in inter-organizational collaboration
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19K13803
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松野 奈都子 日本大学, 商学部, 准教授 (40732475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロスセクター・コラボレーション / NPO / アクター・ネットワーク理論 / 翻訳 / センスメーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織間関係におけるフレームワークの共有プロセスを質的研究によって明らかにすることを目的としたものである。特に、NPOと企業、NPOと行政組織のように異なるセクターに属する組織によって形成されるクロスセクター・コラボレーションに焦点を当てて研究を実施した。研究期間全体を通じて、北海道根室市で活動する環境保護団体を対象とした質的調査を複数回実施した。本調査によって、市民団体であるNPOが無人島の自然保護という目的を達成するために、漁業協同組合、市役所、他の市民団体からの協力をいかにして取り付けたのかという点に関する質的データを入手することができた。最終年度では、これらのデータをもとにした論文を『組織科学』に投稿し、57(2)に掲載されるに至った。クロスセクター・コラボレーション研究には、①コラボレーションに影響を及ぼす多様なアクターとそのエージェンシーがどのように可視化されるのかが見落とされている、②可視化された敵対的・非協力的なアクターをいかに巻き込むかが十分に検討されていない、という課題が存在する。そこで、本稿では、アクター・ネットワーク理論を用いた事例研究を行うことで、先行研究の限界を克服できることを議論した。これにより、先行研究で十分に扱ってこなかった非協力的なアクターをいかにしてコラボレーションに巻き込んでいったのかが明らかにされ、アクター・ネットワーク理論のクロスセクター・コラボレーション研究への適用可能性が示唆された。
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