2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13810
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
鈴木 真也 武蔵大学, 経済学部, 教授 (70637561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際M&A / 研究開発活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、より広範かつ詳細な分析を行うためのデータベースの増補と、それを用いた分析を実施し、学会や研究機関のセミナーにおいて研究成果を発表することで他の研究者からの見解を得て、それらを基にさらに発展的な分析を実施した。 まず、従来より利用しているデータベースに加え、PATSTAT等の特許データベースを利用することで、分析用データセットを拡充した。また、拡充したデータセットを用いて、外国企業に買収された企業の研究開発活動の変化において影響を及ぼす要因に関する分析や、拠点間の国際的な技術移転や研究開発活動の統合過程に影響する要因についての分析を行った。 分析の結果、買収企業と被買収企業が同一産業に属している場合、国際M&Aでは買収後に被買収企業の研究開発費が減少している一方、国内M&Aでは買収後に被買収企業の研究開発費が増加していること、拠点間の国際的な技術移転については、知財保護が強い国に対してほど技術移転が行われやすいこと、知財保護の弱い国に対しては、国際的な社内ネットワークが強いほど技術移転が行われやすいこと、などがわかった。 これらの結果は、国際M&A と国内M&Aとでは、産業内M&A後の統合過程に違いがあること、多くの企業は知財保護の弱い国では社内ネットワークを活用した統合戦略をとっていること、などがわかった点で重要である。また、企業の知財マネジメント能力を高めることで、生産や研究開発活動を国際展開する際の進出先の選択肢を広げることができることを示したことや、海外における知財マネジメントスキルへの支援の必要性を明らかにしたこと、などの点で意義がある。 なお、研究成果の一部は2021年10月に開催された研究・イノベーション学会第36回年次学術大会においてベストペーパーアワードを受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡充したデータセットをもとに分析を発展させ、学会や研究機関のセミナーでの研究成果の発表も進めており、当該年度に予定していた研究内容をほぼ実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、分析の範囲を拡大していき、得られた分析結果を国内外の学会やセミナーで報告し学術雑誌等に投稿することで、研究成果を広く社会に公表することに注力する。また、新型コロナウィルス感染拡大による社会状況の変化により実施を見合わせている質問票調査については引き続き実施についての検討を続けていく。加えて、研究の実施や研究成果の発表等の面での国際的な研究協力も進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による社会状況の変化により質問票調査については実施を見合わせることとなった。また、同じく新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、学会等がオンライン開催となり旅費の使用額が減少した。これらの要因により、次年度使用額が生じた。次年度に質問票調査を実施できる場合にはそのための費用として支出する予定である。また、質問票調査の実施可否や費用を考慮しながら、データベースやワークステーションの購入あるいは国際的な研究協力の推進のための費用としても使用する予定である。
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