2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13812
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
林 祥平 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (30757109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的投影 / 組織社会化 / 組織的同一化 / 共有的認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的投影(social projection)は、認識共有のメカニズムを扱う概念であり、集団形成とその後の集団メンバーへの協力的態度を説明するために、これまで主に社会心理学で研究されてきた。近年の経営学、あるいは現実の企業においてダイバーシティが重視されており、そういった環境下では認識共有の重要性はますます高まり、その支援が求められる。にもかかわらず、これまで経営学において社会的投影はほとんど注目されてこなかった。本研究の目的は、従業員が仕事環境の中でどのようなメカニズムで社会的投影を行い、それを組織が如何にマネジメントしうるのか、そして社会的投影によってどういった行動が説明できるのかを明らかにすることである。 オンライン・対面で実施された実験および質問紙調査を通じて得られたデータを分析した結果、次の点が明らかになった。(1)日米比較から社会的投影は文化の影響を強く受ける。(2)共通の経験を持つ相手には投影する傾向にあり、組織社会化が進むほど、従業員は同じ組織のメンバーに対して社会的投影を積極的に行うようになる。(3)社会的投影をコントロールすると、組織的同一化が組織内での活動に与える影響が弱まる。(4)事前知識のあるもの(既存製品)に比べて、事前知識のないもの(革新的な製品)に対する態度は社会的投影を伴った説得コミュニケーションによって強く影響を与える。こうした研究成果は海外学会で研究発表された。
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