2019 Fiscal Year Research-status Report
Imitation of board configuration amomg listed Japanese companies
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19K13814
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥田 友起 早稲田大学, 産業経営研究所, 助手 (40835005)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | hybrid model / corporate governance / imitation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における複数のコーポレート・ガバナンスの共存を促進する要因についての探究を行っている。伝統的な日本型モデルとアメリカ等において頻繁に見られる株主指向型モデルとを組み合わせたハイブリッド型モデルが、現在日本において広まっている。しかしながら、そのモデルは経路依存理論に照らし合わせて考えると、決して効果的なものとは言えない。また、既存研究においても、その非効果性に関しては、明らかにされているのである。そうした理論的根拠・実証的証拠にも関わらず、なぜ多くの企業がハイブリッド型コーポレート・ガバナンスへと移行するのかという問題意識を持っている。そうした問いの元で、企業間の模倣がそういった収斂化を促進しているという前提を構築し、定量的に検証を行うことを本研究の主要な目的としている。例えば、同業他社の多くがハイブリッド型コーポレート・ガバナンスを採用していたり、日経コーポレート・ガバナンス評価システムにおいて、高く評価されている企業の多くがハイブリッド型コーポレート・ガバナンスを導入していたり、銀行のような第三者の仲介期間を通じて結び付けられている企業群の多くがハイブリッド型コーポレート・ガバナンスを取り入れている場合には、自社もハイブリッド型コーポレート・ガバナンスへと移行する可能性が高まるという仮説の構築を行い、検証を行った。また、2015年におけるガバナンスコードが公布される以前と以後で、そのコーポレート・ガバナンスの移行が企業間で異なる程度に関しての考察も行っている。 本研究は、近年の学術的なコーポレート・ガバナンスへの注目の高まりを鑑みても、非常に意義深い研究であるといえるだろう。また、社会的にも、コーポレート・ガバナンスへの関心は高いばかりでなく、今後のその方向性を探究する上でも、重要な研究と言うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度内での投稿を当初の目標として位置付けていたけれども、現状としては、仮説構築・データ収集・分析を終えた段階であり、当初の目標からは少々の遅れを見てとることができる。進捗状況が少々遅れている理由として、以下の理由をあげることができる。仮説・因果検証のために用いる分析手法を変更した結果として、データセットの修正に加えて、追加のデータ収集に時間を費やしてしまったことを挙げることができるだろう。しかし、そういった変更によって、研究の質や結果が大幅に改善されたし、上述の遅れも今年度内に十分取り戻すことが範囲内であると言うことができる。 また、本研究をいくつかに区分した結果として、複数のアプローチの適応が可能であると言うことを認識することができた結果として、同時進行で複数の研究に取り組んでいることをも多少の遅れの要因と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の進捗としては、8月までに複数本の論文作成・執筆を完了させ、9月中にジャーナルへの投稿を考えている。その過程で考えられる課題点の一つとしては、現在取り組んでいる研究の一つであるガバナンス・コードの公布前後で時期を区切ることによってその効果を認識しようとしている研究論文の一つで現段階ではあまり広まっていない分析手法である回帰分断デザインの利用を試みていることである。WEBサイトや様々な外国書籍を通して、習得に取り組んでいる段階であるのだが、あまり普及していないこともあり、習得できていない状況であると言わざる得ない。ただ、その対応策として、アドバイザーと協議したところ、時期を分断した上で、通常の回帰分析を行うという妥協的な対応策は持ち合わせている。
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Causes of Carryover |
本年度は、海外学会への参加を考えていたけれども、当初考えていた学会が新型頃なウイルスの関係で中止になってしまったために、複数の論文投稿を考えている。昨年度生じた次年度使用額は、海外雑誌への投稿を行う折の語学の校正のために活用することを考えている。
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