2022 Fiscal Year Annual Research Report
潜在意味解析モデルと計算機シミュレーションによる決定方略の推定と意思決定支援
Project/Area Number |
19K13825
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
玉利 祐樹 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (60737360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 意思決定 / 意思決定過程 / 過程追跡法 / 決定方略 / 計算機シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、意思決定方略の定量的推定法の開発を行い、開発手法を用いて推定された方略と意思決定の関係を定量的に検討し、消費者の意思決定支援に向けた処方的な利用方法の提案を目的としていた。本計画では以下の成果を得た。 1. 意思決定過程における探索系列に関して、情報モニタリング法、眼球運動測定、決定方略の計算機シミュレーションの三種のデータの比較を行った。比較の結果より、選択肢ごとに総合評価をするような加法型の使用が求められていても、他の選択肢と比較しつつ決定していることが示唆された。必要条件や他の選択肢といった基準と比較しながらの選択は容易であるが、選択肢ごとに総合評価する決定は困難と考えられる。本結果は、学会にて発表した。 2. 決定方略の計算機シミュレーション、情報モニタリング法実験、深層学習を組み合わせ、決定方略の同定を行なった。深層学習で訓練したモデルを、情報モニタリング法の探索系列データに適用した。実験で指定された方略と分類された方略の一致率は、40.18%であった。加算型・加算差型のような補償型の方略は、方略の探索方法を指定されてもその通りに探索することができないことが示唆された。また、分離型のような非補償型の方略を指定されても、より多くの情報を探索しようと試みていた可能性も示唆された。本結果は、学会にて発表した。 3. 悪い意思決定を避けるという観点から、決定方略の計算機シミュレーションと情報モニタリング法による心理実験を実施し、分析を行った。結果から、分離型の決定方略は、より悪い決定を導き、最善の選択をしようとする努力が、逆に最悪の結果を招く可能性が示唆された。計算機シミュレーションと実験データの比較から、何が最も重要かを考えるといった単純な決定方略は、最悪の意思決定を回避することにつながるという結論が得られた。本結果は、国際論文誌に刊行した。
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