2019 Fiscal Year Research-status Report
行動経済学や心理学に基づく調査回答と事実の乖離の理解及び低減
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19K13826
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
竹内 真登 東北学院大学, 経営学部, 講師 (50805025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ログデータ / 調査回答 / 不注意回答 / コンジョイント測定法 / 文脈効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマーケティングリサーチでの調査回答と実際の行動との間に生じる可能性のある差異について、その大きさや方向を把握し、様々な心理的・行動的な指標や尺度を用いて差異の生じる要因を理解することを目的としている。更に、様々な改善策を検討し、乖離の低減を試みることを想定している。 2019年度は、大きく2つの研究を実施した。1つ目は、実際の行動を捕捉可能なログデータを提供可能な対象者に対して実施した調査とログのデータの解析を進めた。調査では、ログから頻度や量などの事実を把握することが可能な情報について、自記式で対象者に回答を求めている。さらに、先行研究で提案される不注意回答などを検出する指標や心理学などに基づく尺度などを取得している。これらのデータの解析を進め事実と回答の差異の程度などを把握するとともに、不注意回答を行う回答者の要因を確認している。 2つ目は、選択型コンジョイントの解析結果に生じるバイアスの排除に関する研究である。こちらは、消費者行動分野などを中心に研究が盛んな文脈効果(例えば、おとり商品があると、おとり商品がないときと比べて選択行動が変化する)を考慮した統計モデルを検討している。本年度は、まず学生に対するプレ調査を実施し、そのデータを用いて文脈効果を考慮したモデルと従来モデルの比較を行った。 以上の内容について、1つ目の研究は学術誌への投稿に向けて論文を執筆中である。2つ目の研究も、提案モデルと従来モデルで比較した研究結果を学会で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始1年目で、本採択研究に関連した内容で学会報告を行い、またいくつかの論文執筆が進んでいることから、上記区分が相当と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に学生に対して実施した選択型コンジョイントの研究について、さらに提案モデルを改良するとともに一般消費者での検証を実施予定である。そして、提案モデルと従来モデルの購買予測精度を比較することを想定した調査実施及び検証も検討している。しかし、新型コロナウイルスの影響により消費マインドの低下や外出自粛によって調査対象となる消費者の一部が対象商材やサービスの購買が見送られたり、あきらめたりといったことが生じる可能性がある。そのため、実施方法や時期を見直すなど、様々な面を考慮して必要なデータサイズを確保し、新型コロナウイルスによる研究への影響を最小限に抑えることを検討したい。また、現在執筆中の論文を早期に完成させて、学術誌への投稿・採択を目指す。
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Causes of Carryover |
残額は約1.5万円のため、事実上ほぼ予定通り研究費を使用している。ただし、年度末に新型コロナウイルスの影響によって予定していた出張がキャンセルになったため残額が生じた。次年度も引き続き新型コロナウイルスによる影響で、学会中止・出張禁止などにより、当初想定よりも旅費を使用しない可能性がある。この分は一部の研究を前倒し実施することによる調査費、オンラインミーティングの導入費などに充てることを検討し、研究が滞ることを最小限に抑えたい。
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Research Products
(3 results)