2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13833
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
竹内 亮介 東洋大学, 経営学部, 講師 (00821901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 広告 / 消費者 / 広告回避 / 広告記憶 / 広告態度 / アイトラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、広告回避を巡る意思決定の説明(研究1)と、広告回避・広告記憶・広告態度の関係性の特定化(研究2a~2c)を遂行することである。3年目の2021年度においては、「t+1期の広告態度に対してt期の広告回避が、いかなる条件でいかなる影響を与えるか」(研究2b)という問いに解答する計画であった。研究実績の概要は、以下のとおりである。 第1に、研究1において開発した理論に依拠したうえで、広告を回避した消費者がその広告に対して態度を形成しうる5種類の条件を識別した。その条件は、情報処理の動機づけが高い状況において、(1)広告とその他のコンテンツの一致性が高い場合、(2)娯楽性が高い場合、(3)情報の効用が高い場合、(4)特徴の複雑性が高い場合、(5)メッセージの数が多い場合である。 第2に、研究2bの内容に関して英語論文を執筆し、国外の査読付き学術雑誌へ投稿した。上記のとおり、研究1~研究2aと極めて高い関連性を有している点を踏まえて、昨年度に投稿したものの査読の結果として不採択となった英語論文に研究2bの内容を追加した。そのうえで別の雑誌へ投稿したところ、エディターの初期審査を通過し、現在は査読中である。 第3に、来年度に取り組む予定であったが前倒しで進行していた研究に関して、国内の査読付き学術雑誌への論文の掲載が確定した。当論文においては、広告に関する記憶水準に強い影響を及ぼす要因として、消費者の認知的精緻化と理解に着目した。そのうえで、それぞれが高い条件に関する仮説を導出したうえで、その経験的妥当性をテストした。 第4に、昨年度に発表した論文について、株式会社日経BP『日経クロストレンド』の企画において3回の特集を組んでいただき、研究成果を社会に広く発信することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度においては、「t+1期の広告態度に対してt期の広告回避が、いかなる条件でいかなる影響を与えるか」(研究2b)という問いに解答する計画であった。新型コロナウイルスの感染拡大に起因して、アイトラッキング機器を使用した実験(至近距離において実験者と参加者の双方向のやり取りを伴う実験)の実施を見送らざるを得ない状態が続いている点においては、進捗状況が「やや遅れている」といえる。その一方、実験の実施とデータの分析に充てる予定であった時間を活用することによって、理論と仮説を大きく洗練化させることができた点においては、進捗状況が「当初の計画以上に進展している」といえる。以上の2点、ならびに、上述した第3と第4の研究実績を挙げることができた点を踏まえると、総合的には、進捗状況が「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては、当初の計画どおり研究2cに着手し、「t+1期の広告態度に対してt期の広告記憶が、いかなる条件でいかなる影響を与えるか」という問いに解答することによって、広告記憶と広告態度の関係性を特定化していく。具体的には、重要文献のレビュー、理論構築と仮説導出、事前調査・実験・データ分析(新型コロナウイルスの感染状況に応じては中止の可能性もあり)、および論文執筆を行い、査読付き学術雑誌への投稿を完了させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に起因して、当初予定していた国内外の学会出張が不可能になったため、次年度使用額が生じた。この予算は、2022年度において学会出張が可能になった際に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)