2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new survey method for consumer forecasting
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19K13842
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
芳賀 麻誉美 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (60327963)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市場予測 / 購買意向 / 購買行動 / 集合知 / Citizen Forecasting |
Outline of Annual Research Achievements |
日本マーケティングリサーチ協会によると,80%を超える調査受注機関が既存商品の評価や新商品開発に関連する調査を実施していると回答している。消費者行動研究においては、「購買行動」の代用変数として古くから「購買意向」が用いられ,重用されてきた。しかし,実際の売上を「購買意向」と比較すると差異があることも多く、必ずしも予測に適していないことが指摘されてきた。 本研究の目的は、製品やサービスの予測に適した調査法を開発するために、選挙予測の先行研究であるCitizen Forecastingを参考に設問設計を見直し、新たにConsumer Forecastingを開発すること、そして、その予測メカニズムを定量的にモデル化し、手法の有用性と限界を明らかにする、という2点である。 本年度は、①選挙予測手法のCitizen Forecastingを新製品・サービス開発に適用可能なマーケティングリサーチ手法として改変し、自己購買意向を使わない調査法を確立することに主眼を置き研究を行った。 特に、事前に収集済みのデータを用い、(1)「POS売上」予測に適した対象者はどういった対象者であるかを、デモグラフィック属性と予測対象カテゴリへの関与度、調査回答時間等により検討を行うほか、(2)予測は「自分の選好」「共通レベル情報」「個人レベル情報」という3種のシグナルに基づき生成されるというモデル (Rothschild & Wolfers,2012) を基に、予測メカニズムを表現するモデルの作成に着手した。これら研究成果は、国内学会発表、国際会議発表(1件)を行い、論文執筆準備を行うことが出来た。 また、新たに、「定量調査1-市販商品を使った調査」を行った。この調査では他者人気予想とともに将来の予測であることを対象者に明示するために予想する時点を指定し、店舗売上予想を聴取する調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)事前収集済みのデータを利用した分析(対象者分析、回答メカニズムモデルの検討)などが、実行できたこと 2)上記1)について研究成果を国内学会2件、国際会議1件で発表、報告できたこと 3)当初計画していた「定量調査1-市販商品を使った調査」を、歯磨き剤、自動車、ドラマの3カテゴリについて各500名のオンライン調査を実施することが出来たこと、 の3点が、順調な進展といえる根拠である。 一方、次年度以降に計画していた内容を先取りして実行するほどには研究の進展はなく、おおむね順調という判断をした。 また、次年度の国際会議での発表申請については、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、当該の国際会議の発表形式の変更やキャンセルなどが相次ぎ、十分に行えていない。そのため、次年度の成果発表準備が十分行えているとは言えないため、当初予定以上の進展があったとはいえないと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については、以下の2つを行い研究を推進する予定である。 まず第一に、本年度採取した「定量調査1-市販商品を使った調査データ」と、調査時点から見て未来時点であるPOSデータの販売量や視聴率との相関を求める。また、個々の商品に対する 「選好」を聴取して予測メカニズムをモデル化する。モデル化における分析仮説は「他者人気予想」「店舗 売上予想」の2条件では、「共通レベル情報」の影響が相対的に大きく、「個人レベル情報」「選好」の影響が小さいのに対し、「自己購買意 向」は「選好」の影響が相対的に大きく、結果的に販売量を当てることができないというものであり、これを検証する(分析1)。また、共感性や 革新性など、個人特性に関する心理指標を加えておき、個人差を記述するモデルを構築し、予測調査に適した対象者選定法に対する研究も進める予定である(分析2)。 第二に、「定量調査2-発売前新商品を使った調査」を行う。新商品に適用可能か調査・検討するため、調査対象カテゴリの2020年度の新商品発売前時期に調査を実施する予定である。 ただし、懸案事項として2020年度はコロナ禍の影響で消費者の購買行動が大きく変わるため、調査対象カテゴリの選定に影響が出るほか、調査実施に適した時期を見計らう必要がある。そのため、申請時および昨年度計画していた「定量調査2-発売前新商品を使った調査」の分析や、調査法の確立までを2020年度中に完成させることが難しいと判断し、計画の一部変更を行い、分析と調査法確率は2021年度に順延することとした。 また、2020年1月からのコロナ禍により、学術研究成果を発表するための国内学会や国際会議の多くがキャンセルや延期になっている。そのため、学術成果として目に見えるものが上がらない可能性が高いことを付記しておく。
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