2022 Fiscal Year Research-status Report
自伝的記憶の解析による経験価値の測定尺度の開発及び有効性の実証
Project/Area Number |
19K13843
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
猪股 健太郎 熊本学園大学, 商学部, 准教授 (30750830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自伝的記憶 / 経験価値 / 測定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,製品やサービスの物質的・金銭的価値ではなく,その使用や保有といった経験が有する価値である経験価値を評価するための尺度を構築し,その有効 性に関して検討を行うことを目的とする。その際,価値の高い経験を,個人にとって重要な意味をもつ自伝的記憶として対象化し,心理学における記憶研究の手法を応用することで,その性質や役割も含めて検討を行うこととする。これらを達成するために,2022年度は以下の研究活動を行った。 調査で得られた自由記述に関して,既に一部抽象化を行っていたものの,抽象化の水準の設定が十分に明確でなく,より具体的な情報も尺度構築に反映させる必要性が指摘された。また,今後経験価値について検討を行う際の有用なデータベースとして,これらの情報が活用できる可能性が見出された。これらのことから,消費経験に関する参加者の自由記述について,テキストマイニングを行い,出現する語の共起関係を検討した。その結果,価値の高かった消費経験の記述における"初めて"は比較的出現頻度が高く,"買う"や”旅行”と共起性が高かった。このことから,最初の消費経験であることが消費者の自伝的記憶において価値の高いものとなりやすい可能性が示唆された。また,"子供"と"探す"との共起性や,"経験"と"プレゼント"との共起性も観察された。これらのことは,製品やサービスの特性以外の要因が,経験価値を高める要因として重要であることが示唆され,経験価値を測定するための尺度項目として,これらの要素を含める必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最低限の調査結果の分析は実施できたものの,研究を全て完了することができず再延長を余儀なくされたため,遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,テキストマイニングの結果も考慮して,製品やサービスの性質以外の,消費者自信や消費の特性に関する項目も含めた尺度の構築を行い,妥当性の検証も含めた調査的検討を行う。
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Causes of Carryover |
解析のための端末は計画通り購入したものの,尺度項目について再検討の必要性が指摘され,実施を予定していた調査が実施できなかったため,残額が生じることとなった。次年度には調査のための調査会社への委託や,発表・情報収集のための旅費として残額を使用する計画である。
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