2019 Fiscal Year Research-status Report
消費者の意思決定支援に向けた多属性情報の呈示様式の検討
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19K13844
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
井出野 尚 徳山大学, 経済学部, 准教授 (40805628)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多属性意思決定 / 消費者行動 / 情報モニタリング法 / 意思決定方略 / 提示様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多属性情報の呈示様式と意思決定過程の関連を検討し、消費者の意思決定支援に向けた呈示様式の提案を目的とする。これまでの意思決定研究では、状況依存的に選好が構成される側面が重視され、さまざまな現象が報告されてきた。一方、研究によって呈示方法や選択の評価基準などが大きく異なるため、情報の呈示様式と意思決定との関連の検討は、十分に進展しているとは言えない。そのため、実験手法と評価システムを定式化させ、さまざまな条件での検討を行う必要がある。本研究では、1)意思決定過程の検討に情報モニタリング法を応用した実験手法と、解析方法を開発し、両者を統合させたプラットフォームを作成する。このプラットフォームを用いた複数の実験結果から、2)呈示様式と意思決定方略の定式化を図る。その上で、3)日常の消費者行動と結びつきが深い時間的制約などの条件を用いた実験を行い、解析結果から消費者が意思決定をしやすい呈示様式の提案を行う。 2019年度では、消費者の決定しやすい情報の呈示様式の検討に向けた、実験とシミュレーションを融合させたプラットフォームの構築を行った。実験に関しては、図的表現を導入した多属性表を作成し、眼球運動測定装置による情報モニタリング法実験を実施し、国際学会へ論文投稿を行った。また、実験参加者が用いた意思決定方略を同定するためのシミュレーションを行った。さらに、社会的状況下の与える意思決定への影響に関する質問紙調査の実施と、多属性意思決定過程へ影響を与える社会的環境の検討、社会的概念の測定方法の開発を行い、学会などでの公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
属性値の表現に白黒の2値表現を用いた多属性表を作成し、基礎的な多属性意思決定実験を終了し、国際学会(Diagram2020)での発表を予定している。本発表は、査読付き論文として刊行される予定である。また、基礎実験に用いた刺激を対象に、意思決定方略を推定するために、シミュレーションを実施した。さらに、意思決定過程へ影響を与える社会的状況を探索するために、質問紙調査ならびに実験を実施した。本研究の目的である、消費者支援に向けた研究プラットフォーム作成に必要な、実験・シミュレーション・調査が進行中であり、研究全体としては計画通りの進捗と言える。また、発展的課題として、線描を用いたイメージの測定方法を開発し、学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、計画している実験は、1)選択肢数を増加させ、より認知的負荷の大きな多属性表を用いた実験と、2)重要属性のハイライトなどを用いた表現様式を用いた実験を予定している。両実験を通し、図的表現と決定のしやすさの検討を行う、また、シミュレーションに関しては、選択肢数・属性数・属性の水準数を変数として実装することによって、実験結果との対比を行う。また、消費者の意思決定支援に向けて、日常生活において意思決定過程に影響を与える要因についての検討を行う。特に、不確実性が高まっている今日の状況を鑑み、情報の不確実性が高まった時の、意思決定方略(対処法)の変化について検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響のため、3月上旬に予定していた、研究打ち合わせが中止となり、旅費・交通費が使用できなかった。本年度予定している実験参加者への謝礼に充当する予定である。
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