2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Management Control System for Quality by the Collaboration between Agriculture and Welfare
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19K13846
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小杉 雅俊 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10734197)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 農福連携 / マネジメント・コントロール・システム / 管理会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
農福連携は、農業法人と福祉団体の両者による共同体構想に基づくマネジメント・システムである。人的資源の向上をはじめとする内的資源価値の増強を生み出し、企業努力としての増産・販路拡大などの実現を可能にする。これにより、顧客への訴求力を高め、必然的に収益の拡大をもたらす。本研究は、先行研究における検討が不足している農福連携に対し、管理会計学の視点から、組織目標を達成するためのマネジメント・コントロール・システムがどのように構築・整備されているのか、さらに「共同体の構築段階における試行錯誤」から「収穫量の安定・増強による収益力強化」に至る変化が当該システムに及ぼす影響は何かを解明することで、事業としての実態と現実的効果を明らかにするものである。 研究初年度(令和元年度)は、先行研究の検討が皆無である農福連携に対し、これらの目標を達成するためのマネジメントが、実際の現場でどのように構築・整備され、機能しているのかについて、ケーススタディーに基づき検討を行った。この研究成果について、国内外で学会報告を行うとともに、論文を刊行することができた。この中で、農福連携が人的資源の向上などの増強を生み出しながら、企業努力としての増産・販路拡大などの実現を可能にしていることを論じた。これにより、農産物の品質向上の実現が起こり、顧客への訴求力を高め、結果として売上の拡大に結びつけるシステムとして実際に機能している点を明らかにした。研究成果の発表・公表に伴い、初年度は充実した研究交流が実現でき、分析検討の視座や方向性について数多くのコメントや意見などをいただくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の発表・公表に伴い、初年度は充実した研究交流が実現でき、国際学会報告の場と、刊行した英語論文を媒体に、国内外から多くのコメントを頂く事ができた。これらの中で指摘が多かったのは、農福連携の登場や、その変化を要請した背景についても、国内の状況や国外との比較を加えた形で、併せて検討する必要があるというものである。この指摘は海外の研究者から特に強く要望されており、研究対象である農福連携が、日本の農業家や社会福祉法人が相対する現在の日本国内の状況を色濃く反映しているためであると考えられる。今後とも、研究交流を積極的に行うとともに、その蓄積を大切にしながら、調査研究を継続していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアリング調査に関しては、COVID-19の収束後に実施することとするが、本実施報告書執筆時点(2020年4月)では将来的な予測が非常に難しく、今後の状況に応じて極めて慎重に判断を行う必要がある。調査に困難が生じた場合に備え、ケースサイトの1次資料(財務資料、内部資料)、広報刊行物等を通じた分析・検討を加え、内部でマネジメント・コントロール・システムがどのように構築・共有されているかに重点を置き、別途電話やメールによる質問を重ねるなど、現実的に柔軟な形で実態を明らかにできるよう、可能な限りの都度工夫を重ねる。 次年度は、初年度の研究蓄積を踏まえ研究を進展させていくことになるが、調査過程で得られた研究蓄積により、研究テーマと関連する周辺領域での研究進展の可能性が生じた。これらに関しても、積極的な検討を重ねることで、多角的な分析の実現に努めていきたい。
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Research Products
(3 results)