2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Management Control System for Quality by the Collaboration between Agriculture and Welfare
Project/Area Number |
19K13846
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小杉 雅俊 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10734197)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 農福連携 / マネジメント・コントロール・システム / 管理会計 / 品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農業法人と福祉団体の両者による共同体構想に基づくマネジメント・システムである農福連携を対象に、そのマネジメント・コントロール・システムがどのように機能するのかを解明することに主眼を置いている。農福連携は、人的資源の向上をはじめとする内的資源価値の増強を生み出し、企業努力としての増産・販路拡大などの実現を可能とし、顧客への訴求力を高め、必然的に収益の拡大をもたらすことができる。本研究は、システムそのものや、それに及ぼす影響や背景は何かを検討することで、事業としての実態と現実的効果を明らかにするものである。 本年度(令和2年度)は、農福連携のケーススタディーにより、福祉施設の利用者に対するコントロールの実践が、福祉施設の理念の実現や事業収益の拡大と、利用者自身の目的達成を同時的に実現できることを明らかにした。これが顧客のコントロールになっていること、行動コントロールが存在せず文化・成果・人事の3つのコントロールが補完的に機能している事例が存在することなど、非常に特徴的な側面を示すことができた。これらの研究実績については、学会誌上で令和3年度に論文として刊行されることが決定しており、本報告書の執筆時(令和3年4月)にはまだ発表されておらず、ここでの記述を留めることとしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間に新型コロナウイルス感染症の世界的な流行があり、現場調査や研究報告に影響があった。対応として、予定していた実地でのインタビューをオンライン調査に切り替え、本務校より提供されたクラウドのWeb会議システムなどを活用したヒアリングの実施などを行い、ケースサイトの1次資料(財務資料、内部資料)、広報刊行物等を加えた分析・検討を実施した。結果として、これらの成果を論文にまとめることができた(次年度中に刊行される)。一方で、実地での現場訪問調査を保留にした影響もあり、研究計画通りの調査を行うことができなかった。さらに、予定していた研究成果報告の機会が中止・延期になるなどの影響で、学会報告の機会を上手く捻出することも叶わなかった。本年度も、新型コロナウイルス感染症の影響に対して、各種ガイドラインなどの遵守を徹底しながら研究の進展に努めるとともに、研究最終年度の延長申請も含めた柔軟な対応をしていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度報告書にて、ヒアリング調査に関しては新型コロナウイルス感染症の影響が収束した後に実施することとする旨の記述をさせていただいたが、2020年度には研究計画通りの大規模な実地調査を行うことを見送る判断を重ねることになった。今後の状況に応じて極めて慎重に判断を行う必要がある点に変わりはなく、研究計画時には想定していなかったクラウドのWeb会議システムの活用も含め、現在の社会情勢に応じた調査・研究のあり方を模索していく。最後に、研究計画の変更に対する対応は、研究最終年度の延長申請も含めた検討を行うことをここに記す。
|
Causes of Carryover |
本年度の経費分を全て次年度使用額とした理由は、以下の3点である。 1点目は、先述の通り現在の社会情勢下で、対面を伴う調査の実施に踏み切ることができず、当初の研究計画では本年度の経費執行の大半を出張に関連する費用として計上していたために、その経費の執行に至らなかったことによる。この点については、オンライン調査への移行を都度工夫するとともに、オンライン上では難しい部分を対象に、ケースサイトの協力のもと各種ガイドライン等を順守した形での調査として次年度に実施する。なお、本年度調査に利用したクラウドのWeb会議システムについては、全て本務校のものを利用することができたため、本年度の予算執行には至っていない。 2点目は、参加させていただく予定だった各種の研究報告の場が、中止や日程変更・次年度への延期措置などが相次いだことで、結果として本年度中に予算執行に至らず次年度に繰り越す判断をしたためである。これらの機会について、各種学会などがオンラインだけでなく対面でも開催される予定とされており、次年度に使用する計画に至った。 3点目は、英文校正に想定していた経費について、先述の調査の遅れから研究進展が遅れてしまい、結果として次年度の期間内に使うことができず次年度使用額として繰り越すに至った。これに関しては、次年度調査分を加味して、次年度に問題なく実施することが確実になっている。
|