2019 Fiscal Year Research-status Report
会計情報の開示規制が企業の実態に与える影響に関する研究
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19K13854
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
石川 徹 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (40824628)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ディスクロージャー / 投資効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業が企業外部の利害関係者の保有する情報を入手するインセンティブを考慮し、強制的な情報開示が企業の情報獲得、投資意思決定に与える影響を考察することである。本研究では、企業が保有していない情報を保有する企業外部の利害関係者として、資本市場の参加者であるアナリストと投資家を想定する。企業は、アナリストの保有する情報、投資家の保有する情報を入手して投資意思決定に利用する。企業がアナリストと投資家が保有する情報を入手する方法として、(a)アナリストからの情報の入手と(b)資本市場からのフィードバック効果を考える。 本年度は、(a)に焦点をあて、企業がアナリストの保有する情報を入手する方法として、アナリストレポートからの情報入手を考えた。近年、企業はより多くの情報を開示することが求められている。しかし、企業が開示する情報には裁量があり、その意思決定はアナリストの行動に依存する。そのため、企業がアナリストの保有する情報を入手するインセンティブを有するとき、入手した情報を強制的に開示する規制が企業に与える影響を考察した。さらに、企業の入手する情報に関して強制開示と非開示の場合の投資効率性を比較した。その結果、強制開示のもとで、企業は入手できる情報の精度によって、アナリストの保有する情報を入手するために、精度の低い情報を入手・開示することが示された。そして、この場合、開示規制の意図する情報が開示されない恐れがあることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度である本年度は、先行研究の渉猟・基本モデルの構築に重点を実施した。本研究は、企業外部の利害関係者の保有する情報の入手方法として、アナリストからの情報、資本市場のフィードバック効果を考える。それぞれの影響を考察するため、計画の通り、本年度はアナリストからの情報に着目して基本モデルを構築した。今後、構築した基本モデルに資本市場からのフィードバック効果を組み込み拡張して、その成果をまとめ、公表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に構築した基本モデルを拡張し、成果を学会等で発表する。そこで得られたコメント等を反映し、完成度を高め、海外の査読付雑誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、出張予定がキャンセルとなったため、次年度使用額が生じた。また、今年度に予算の残額が足りなく購入できなかった物品を次年度に購入する。
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