2019 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域の地方公営企業における組織間連携に関する研究
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19K13857
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
関谷 浩行 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (50734505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 管理会計 / マネジメント・コントロール / 組織間連携 / 地方公営企業 / 過疎地域 / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,北海道の過疎地域に位置する上下水道事業,病院事業等を担う地方公営企業の事例研究をとおして,会計情報共有および相対的業績評価がどのように組織間連携,組織学習に資するかを組織間管理会計研究の視点から明らかにすることにある。現在,地方公営企業は,人口減少等に伴う料金収入の減少や施設等の老朽化に伴う更新需要の増大から,事業統合をはじめ,施設・管理の共同化など広域的な連携,再編・ネットワーク化という組織間連携への取り組みが喫緊の課題である。2019年度は研究計画調書にしたがって,(1)地方公営企業等に関する文献研究の整理,(2)北海道外の地方公営企業におけるインタビュー調査に取り組んだ。 第1の課題について,本年度は主に公立病院および組織間管理会計に関する文献研究を実施した。近年,公立病院に対する風当たりがより一層強くなっている。厚生労働省は2019年9月,がんや救急など9つの領域での診療実績が特に少ない,近隣に類似の機能を有する医療機関の有無という視点から,全国424の公立・公的病院のリストを公表した。このような経営環境の変化に対応するためには,事務部門の強化,事務職員のスキルアップが何よりも求められることなどが明らかになった。 第2の課題については,文献研究で明らかになった内容をさらに強固なものにするため,北海道外の過疎地域で,抜本的な改革等に係る先進的な取組みを行っている公立病院へのインタビュー調査を実施した。具体的には,会計情報共有と組織学習の視点から,中小規模の公立病院へのインタビュー調査を行った。この成果を踏まえて,次年度から予定している北海道内の地方公営企業へのインタビュー調査で用いる調査票作成の基礎固めを行うことができた。これらの研究成果の一部は,著書1件において明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は,文献研究および北海道外の地方公営企業へのインタビュー調査を中心に行う予定であった。公立病院を対象にしたインタビュー調査は実施することができた。しかし,新型コロナウイルスの影響で,当初予定していた水道事業および下水道事業を対象にしたインタビュー調査は実施することができなかった。したがって,研究計画調書の予定よりも,「(3)やや遅れている」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も引き続き,当初の研究計画調書にしたがって研究を推進する。2020年度・2021年度は,さらなる文献研究に加えて,北海道内の地方公営企業へのインタビュー調査を積極的に実施する予定である。本研究の中間成果については,関連する学会での学会報告という形態で行う。 しかし,昨今の新型コロナウイルスの影響が今後も続く場合,予定しているインタビュー調査を実施することが困難になる。したがって,インタビュー調査が実施できないことも想定して,研究計画調書にも記載したとおり郵送等による質問票調査の準備も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年1月~3月に予定していた水道事業および下水道事業へのインタビュー調査が,新型コロナウイルスの影響のため延期になったことが主な理由である。したがって,2020年度は2019年度に実施できなかったインタビュー調査を推進する。
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