2021 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域の地方公営企業における組織間連携に関する研究
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19K13857
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
関谷 浩行 北海学園大学, 経営学部, 教授 (50734505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメーバ経営 / イネーブリング・コントロール / マネジメント・コントロール / ナレッジマネジメント / 管理会計 / 組織学習 / 公立中小病院 / 地方公営企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画は,北海道の過疎地域に位置する上下水道事業者および病院事業者へのインタビュー調査を実施することにあった。しかし,新型コロナウイルスの影響により,訪問でのインタビュー調査の許可がほとんど得ることができなかった。 本年度は組織間連携に重要な組織学習に着目し,公立中小病院を対象とした事例研究を行った。具体的には,アメーバ経営を導入し定着した組織にはどのような特性があるのかについて,組織学習を促進するといわれるイネーブリング・コントロールの視点から明らかにした。 アメーバ経営は起業家精神を引き出すコストマネジメント手法であり,ミニ・プロフィットセンターという新たな概念を生み出した(Cooper 1994, 1995)。協力対価方式が2006年に医療機関に導入されて以降,アメーバ経営は製造業だけでなくサービス業にも適用領域を拡張した。 イネーブリング・コントロールは,組織学習を促進するマネジメントコントロール・システムであり,伝統的なマネジメントコントロール・システムである強制的コントロールと併用することで,効率性と創造性の相反する目標を同時追求することを可能にする(Adler and Boris 1996; Ahrens and Chapman 2004) 。イネーブリング・コントロールは従業員の能力を活用して,組織ルーティンをよりよいものに更新するため,試行錯誤を学習の機会として推奨する。 本研究の貢献は2つある。第一にイネーブリングな設計上の特徴を持つアメーバ経営を定着させるためには,現場の試行錯誤を許容するだけではなく院長や事務部門の適切な介入をとおして内部透明性が修復可能性を促進させることが示唆された。第二に,医療従事者を支える「翻訳者」として事務部門における組織学習のあり方を提言した。これらの成果は,著書1件で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の主たる研究計画は,北海道の過疎地域における地方公営企業のインタビュー調査を行う予定であった。しかし,研究実績の概要でも述べたように,新型コロナウイルスの影響で,インタビュー先の許可を得ることができず,ほとんど実施することができなかった。したがって,研究計画調書の予定よりも,「(3)やや遅れている」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き,当初の研究計画書にしたがって研究を推進する。地方公営企業のインタビュー調査を継続して行うとともに,インタビュー調査に充てる予定であった旅費の一部を郵送等による質問表調査に切り替えて研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
予定していた地方公営企業へのインタビュー調査が,新型コロナウイルスの影響のためほとんど実施できなかったことが理由である。したがって,2022年度はインタビュー調査を継続することに加えて,出張旅費の一部を質問表調査に切り替えて研究を遂行する。
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