2020 Fiscal Year Research-status Report
財務報告の意思決定有用性と間接的検証可能性の関連性に関する研究
Project/Area Number |
19K13859
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
篠藤 涼子 麗澤大学, 経済学部2, 准教授 (70635903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 監査証拠 / 会計上の見積り / 監査人の見積値または許容範囲の設定 |
Outline of Annual Research Achievements |
会計上の見積りの監査の影響による財務諸表監査の成否を議論する前提として,会計上の見積りに適合した十分かつ適切な監査証拠との関わりから監査証拠概念について,次の点を確かめた。 1)規範的には,監査証拠の十分性に比重をおいた,推定値との照合による適切性によっても立証命題に適合した十分かつ適切な監査証拠の充足が可能となっている。2)会計上の見積りの監査は,経営者による見積りプロセスの評価又は,監査人による見積額又は許容範囲の設定を基本として,監査人による見積額は,合理的な見積額か虚偽表示かを立証する監査証拠としての役割が,監査人による許容範囲の設定は,特別な検討を必要とするリスクを生じさせている見積額の合理性を立証する監査証拠としての役割が定められている。3)会計上の見積り測定値には,金額的合理性にも幅があるようになり,弾力的な監査証拠の入手が必要となる。弾力的な形態を持つ監査証拠とは,既発生の過去的事象に対して得られる確信的な監査証拠とは質的に異なった,説得的な監査証拠となる。4)分析的実証手続と会計上の見積りの監査手続を比較した場合,いずれも,監査人による測定値が基準値として用いられるが,会計上の見積りの監査では,立証命題が反証された場合は,虚偽表示を立証する監査証拠となる。5)会計上の見積りに適合した十分かつ適切な監査証拠とは,監査証拠の十分性の累積的効果や,適合性と証明力のある証拠資料に裏付けられた監査人の測定値を軸とした監査証拠の適切性と結論づける。 研究2年目の成果は,紀要に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究や資料調査・収集は継続して行っているが,学会発表等において社会的状況の影響を受けて当初の計画を修正している。
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Strategy for Future Research Activity |
理論上,財務諸表監査の保証の内容にも影響を与える,会計上の見積りの監査アプローチとして,プロセスの検証,または,監査人の見積値または許容範囲の設定,どちらが原則アプローチとなるのかについてコーポレートガバナンスの枠組みから検討をする。また,本研究テーマとの関わりから,平均値を補足する確率分布等の情報開示について非財務情報との関わりから検討をする。
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Causes of Carryover |
社会的状況を受けて,当初の研究を遅滞なく継続するために,必要機器の準備等により対応をする。
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Research Products
(1 results)