2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K13862
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 哲弘 中央大学, 商学部, 准教授 (90707085)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 利益調整 / 実体的利益調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業の地理的な分布と会計情報の関係について分析することを主な目的としている。昨年度までの研究の進捗が非常に良好であり、当初目標とされた企業の地理的な分布の直接的な会計情報(特に利益調整)への影響は分析が完了している。 このため、昨年度に引き続き2022年度は、日本企業のコンテクストに基づくコーポレートガバナンスの影響について、詳細に分析を進めた。コーポレートガバナンスは、企業が属する国や地域、あるいは企業文化のコンテクストによって、多様であり同じ仕組みを取り入れても同じような規律付けが作用するかがわからない。企業の地理的な展開を考えた際、このようなガバナンスの役割は極めて重要であり、昨年度の研究成果をもとに研究に取り組んでいる。 本年度における具体的な成果は、日本企業の多くが採用しているステークホルダー志向のコーポレート・ガバナンスを前提としたとき、その経営戦略は独特であり、結果として会計数値の解釈に注意しなければならないことが明らかとなった点である。とりわけ、本年度は実体的利益調整行動の分析指標として用いられるRoychowdhuryの代理変数がステークホルダー志向のコーポレート・ガバナンスの下ではバイアスを持つことが示された。近年、実体的利益調整に関する研究は日本でも多く行われており、本研究の発見は、利益調整行動研究における代理変数の選択やコントロールを考えるうえで非常に重要であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、計画した企業の地理的な分布の直接的な会計情報(特に利益調整)への影響の直接的な分析は完了している。このため、昨年度に引き続き日本企業が地理的に広く分布する(すなわち国外へ進出する)際に問題となるコーポレートガバナンスについて、研究を拡張している。
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Strategy for Future Research Activity |
企業の地理的分布が利益調整に与える直接的な分析は完了しているものの、税制やコーポレート・ガバナンスに関してはまだまだ十分な分析を行うことができていない。次年度は、こうした研究をいったんまとめるために、より包括的な研究を扱うこととしたい。
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Causes of Carryover |
昨年度より取り組んでいるコーポレート・ガバナンスに関する研究が分析途中であり、継続したデータベースの購入が必要となったため。
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