2019 Fiscal Year Research-status Report
Sign and Cost of Corporate Scandals: Evidence from Earnings Quality and Required Rate of Return
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19K13863
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小村 彰啓 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20824931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 利益の質 / 企業不正 / ESG / CSR / SRI / 株式市場 / 期待収益率 / 企業系列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幅広い利害関係者が企業の社会的貢献度を判断するための新たな指標の提案、さらに、企業側にCSRの重要性を再度喚起することを目的とする。これは、昨今、グローバル企業による不正行為発覚が頻発するなか、一般社会や監督官庁が容易に取得でき、企業の社会的貢献を推し量る判断材料に活用可能な指標の必要性が高まっていると考えるため。本研究では、具体的に、以下の3点について取り組む。 【取組A】 企業による不正行為の特定、及び、標本企業の株主構成や企業系列の特定 【取組B】不正行為と利質の関係性を検証 【取組C】不正行為を受けた主要利害関係者の反応を検証 2019年度は、取組Aを中心に研究活動を行った。具体的には、(1)データベースを用いた全上場企業の財務及び金融データの取得、(2)東洋経済社発行の四季報を用いた不正企業のメインバンク特定、(3)Factivaのニュース検索機能を用いた不正企業の特定、などを行った。四季報からのデータ抽出は、研究補助を雇い実施した。また、国内外の大手金融機関で調査業務に携わる方々や、早稲田大学や明治大学で本研究に関連する研究を行っている方々とミーティングを行い、分析手法やデータ取得に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究データの取得に注力し、概ね計画通りに進捗した。本研究では、不正を行った企業の特定に加えて、これらを含む全上場企業の財務及び金融データが必要となる。当初計画通り、これらデータの取得を当年度中に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に記載の通り、分析に用いるデータの取得は2019年度中に進めた。2020年度にも、メインバンクに関連するデータの取得を進める。また、研究協力者の助言を受けて、ニュース検索の方法について若干の見直しも2020年度に行う予定である。これにより、定量分析に用いるサンプルの拡充が見込まれる。さらに、2020年度では、取組Bも進める予定である。具体的には、利益の質と不正行為の関係について、イベント・スタディ法を含めた横断面分析を用いて分析する。なお、当初計画していた学会等での研究報告は、新型コロナウイルスの世界的な流行を踏まえて、2021年度での実施を目指すこととする。また、2021年度では、不正行為を受けた株式市場の反応について、不正発覚以前と以後の期待収益率の変化等を用いて分析する。
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Causes of Carryover |
メインバンクに関連するデータの取得が、新型コロナウイルスの影響もあり若干遅れていることから、2019年度の研究補助員費が当初想定に比べて少なかった。2020年度は、引き続き、研究補助員を用いたデータ取得を行う予定である。定量分析の結果によっては、金融データベースの購入を検討する。また、研究を効率的に進めるため、新たなパソコンの購入も検討する。さらに、年度後半には、研究協力者とのミーティングを行うための旅費を計上する予定である。
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