2022 Fiscal Year Research-status Report
研究者の動機づけに対する業績評価指標と雇用形態の影響
Project/Area Number |
19K13868
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
佐々木 多恵 常葉大学, 経営学部, 講師 (80825729)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 教育研究組織 / 業績管理システム / 任期付雇用 / 動機づけ / 仕事満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究者の雇用形態に着目した上で、多様な業績評価指標が研究者の動機づけに与える影響を明らかにすることである。2022年度においては、近年の教育研究組織における雇用形態の現状、および教育研究組織で用いられている業績評価指標について、文献等資料を用いて一定程度の整理を実施した。 その研究成果として、2023年2月に単著論文「教育研究組織における雇用形態の多様性と業績管理システム」(『常葉大学経営学部紀要』第10巻第2号,11-20頁)を発表した。当該論文は、管理会計と高等教育に関連する領域の先行研究レビューを通じて、雇用形態の現状とその影響ならびに業績管理システムの現状を整理し、今後の業績管理システムのあり方について考察したものである。 まず、雇用形態について、わが国ではこの10年ほどで任期付やテニュアトラック(任期付で採用されるが、その任期の間に要求された条件を満たせば終身在職権が得られるもの)の割合が増加しており、任期がある者の任期の長さは5~6年が多く、特に6年未満である者が9割弱にのぼっている。次に、業績管理システムについては、特に再任評価の際の指標に着目した。その結果、全体としては研究関連・教育関連の順に業績が重視されていることが分かった。当該論文では、動機づけについては十分に言及できなかったが、仕事満足度を引き出す職務環境づくりの重要性が明らかとなった。以上のことから、今後の業績管理システムのあり方として「(研究や教育等の)各活動の重視度を明らかにして評価の透明性を高めたうえで、個人の仕事満足度を意識しつつ、長期的な評価と併せて文化や管理によるコントロールも活用すること」を提示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由として、2022年度は本研究課題の最終年度であったが、当初計画にあったインタビュー調査や質問票調査については依然として未実施である点が挙げられる。文献等資料の調査は終了しており、実地調査の内容については明確になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず第一に、残された研究期間や衛生面の制約等から、外部機関での調査が十分に実施できない場合も考えられるため、研究代表者の所属機関内でも可能な限り調査協力を依頼する。その際、当初の焦点であった「研究」だけに特化するのではなく「教育」に関する業績評価指標と動機づけの関係についても分析対象とする。これにより、活動内容に応じて業績管理のあり方が異なるのか否かについても詳細な検討を加えたいと考えている。 調査にあたっては、関連する分野の研究者や実務家との打ち合わせを入念に実施し、研究の質の向上に努めていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、旅費(特に遠方へのインタビュー調査にかかるもの)、論文・書籍・プリンターインク等の消耗品費、報告書作成や論文投稿にかかる費用の未使用分があったことが挙げられる。1年間の研究期間の延長をしたため、調査費や消耗品費として充当するほか、分析や論文執筆等をスムーズに行うために、ノートパソコンの新規購入を計画している。
|