2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of Going Concern Opinion
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19K13875
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Research Institution | Kyushu Institute of Information Sciences |
Principal Investigator |
坂根 純輝 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (40738001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゴーイング・コンサーン情報 / ボラティリティ / 資本コスト / エージェンシー・スラック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、経営者主導で開示される日本のGC(ゴ-イング・コンサ-ン、すなわち継続企業の前提のことである。)情報とアメリカのSAS59号(Statement on Auditing Standards No.59)等に従って監査人主導で開示されるGC情報が株主の意思決定に与える影響の違いを明らかにすることである。 2019年度は、本研究に関連する先行研究を整理し、本研究の研究目的を達成するために必要なデータを収集した。 アメリカにおける先行研究を整理した結果、我が国の文献や論文で十分整理されていないアメリカのGC情報に関連する基準の重要な変更点(アメリカでは2014年にGC情報に関する初のGAAP(一般に公正妥当と認められた会計原則)がFASB(米国財務会計基準審議会)から公表されていた。)等が明らかとなった。 また、データ収集の結果、アメリカにおいてGC情報が開示された企業と経営状況が類似している日本においてGC情報が開示された企業を傾向スコアマッチングを用いてマッチングさせることができた。マッチングされたGC情報が記載されている日米企業のボラティリティ(株価の変動幅)をヒストグラムで確認したところ、日本においてGC情報が記載されている企業のボラティリティに比べ、アメリカにおいてGC情報が記載されている企業のボラティリティは大きくなっているようであった。ただし、ボラティリティの差をヒストグラムで確認をしただけなので、まだ当該研究に対して結論を出すことはできない。当該研究データを使用した詳細な分析は2020年度に実施していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、データベースを契約して、研究に必要なデータを取得する必要があった。しかしながら、2019年度に配分された予算額ではデータベースを購入する事ができなかった。そこで、2020年度分の予算を前倒し申請し、データベースの購入の際に不足していた金額を補填することとした。その結果、前倒し申請した金額が振り込まれたのが2019年度の11月頃となり、データベースを購入できたのが2019年度の12月となった。このような経緯があり、データベースからのデータ抽出を開始する時期が大幅に遅れたため、全体的に本研究の実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度は、①先行研究の整理、②日米のGC企業の選定、③日米のコントロール・サンプル企業の選定、④回帰分析の説明変数の数値データの集計、⑤日米企業のリターンボラティリティの測定及び⑥中間データを使用した論文の執筆の6つの実施を計画していた。ただ、研究の実施が遅れたため、中間データを使用した論文の執筆ができなかった。そこで、当初の研究計画を実行できるように2020年度の研究計画を変更することとした。
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Causes of Carryover |
本研究では、データベースを契約して、研究に必要なデータを取得する必要があった。しかしながら、2019年度に配分された予算額ではデータベースを購入する事ができなかった。そこで、2020年度分の予算を前倒し申請し、データベースの購入の際に不足していた金額を補填することとした。 ただし、データベースは海外の会社が販売しており、データベースの購入に関して為替の変動や価格の変動のリスクを考慮しなければならなかった。このような経緯があったため、念のため多めの金額を前倒し申請した。その結果、次年度使用額が生じた。 2020年度に九州情報大学から長崎県立大学に所属機関を移籍した影響により、次年度の費目変更はありうるが、次年度使用額及び翌年度分の助成金は研究遂行に必要な用途のみに使用していく。
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