2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Going Concern Opinion
Project/Area Number |
19K13875
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
坂根 純輝 長崎県立大学, 経営学部, 准教授 (40738001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゴーイング・コンサーン情報 / ボラティリティ / エージェンシー・スラック |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は、前年度までに実施した先行研究のレビューをもとに「経営者主導で開示された日本のGC(ゴーイング・コンサーン)情報に比べ、監査人主導で開示されたアメリカのGC情報に投資家は強く反応するのではないだろうか。」というリサーチクエスチョンを導いた。そして、当該リサーチクエションを検証するために、「日本でGC監査が始動した2003年からアメリカにおいてGC情報に関するGAAPが設定された2014年までの間において、経営者主導でGC注記/追記が開示された日本企業のヒストリカルボラティリティに比べ、監査人主導でGC意見が開示されたアメリカ企業のヒストリカルボラティリティは大きい。」という仮説を検証した。 この仮説を検証するために、日米のGC情報が開示された企業群(GC企業という。)と傾向スコアマッチングを用いてマッチングした日米のGC情報が開示されていない企業群(NonGC企業という。)とのボラティリティを比較した。ただし、サンプルサイズが小さかったため、ブートストラップ法を用いたリサンプリングを実施した。 ブートストラップ標本から作成したヒストグラムを比較すると、アメリカではGC企業とNonGC企業とのボラティリティには、3%から3.5%の差が生じることが最も多く、日本ではGC企業とNonGC企業とのボラティリティには、2%から2.5%の差が生じることが最も多いことが判明した。 サンプルサイズが小さいという研究上の限界があるものの、本研究成果により仮説の確からしさは高まった。 コロナウィルスの影響により当初予定していた学会報告のエントリーを断念することとなってしまったが、最終年度であることから、上述してきた研究成果を論文として公表した。
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