2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on Hybridity and Interactions in Japanese and Korean Popular Music since 1945
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19K13876
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金 ソンミン 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (60600426)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポピュラー音楽 / 日韓 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が試みるのは、学際的アプローチから、日韓のポピュラー音楽をめぐる学術的問いと社会的問い両方に対して答えを出すことである。それは、下記の二つの主な目的を果たすためである。 ①東アジア地域の歴史からポピュラー音楽のグローバルな歴史を書き換えることを試みること。ポピュラー音楽における中心―周辺モデルを超えたグローバルな生産・流通・消費のメカニズムとその中の新たな集団的アイデンティティを、これまで世界ポピュラー音楽の周辺として位置付けられてきた東アジア地域から明らかにすることを目指す。②「日韓」をめぐる二国間的認識とまなざしのフレームを、世界文化史的な観点に転換させること。これまでの批評空間において単純な「比較」の対象として語られてきた日韓のポピュラー音楽空間を、重層的な水準における「相互作用」との側面から歴史的かつ実証的検討することで、国家間の次元を超えたグローバルな次元における共通の文化実践とその効果を明らかにすることを目指す。 2019年度は、その目的を果たすために次のような研究活動を行った。 ①日本、韓国、アメリカを中心に、1940-60年代における日韓のポピュラー音楽の形成過程に関する資料集取、文献検討、理論的考察、研究発表を行った。②日本、韓国、アメリカを中心に、1970-90年代における日韓のポピュラー音楽の変容過程に関する資料集取、文献検討、理論的考察、研究発表を行った。③日本、韓国、アメリカを中心に、2000-2010年代における日韓のポピュラー音楽の変容過程に関する資料集取、文献検討、理論的考察、研究発表を行った。④上記の研究実績をまとめ、単著、共著の出版、国際シンポジウム発表、招待講演、公開講座、新聞・雑誌投稿およびインタビューなど、日本語・韓国語での学術的かつ社会的発信を行った。⑤2022年度までの研究成果をまとめ、出版するための準備作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次の研究計画に従い、順調に研究活動を行った。資料調査:日米韓を中心とした文献レビューと資料調査、インタビュー調査を行う。② 歴史化・理論化作業:1945 -1965年におけるアメリカン・ヘゲモニーとポピュラー音楽および放送システムとの関係を再検討すると同時に、1965-1988年における日本を 中心とした東アジアの国際化によるポピュラー音楽産業の動きを制度と実践、言説の水準で分析する。③ 公表:学会発表、学会誌論文投稿。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降も日本、韓国、アメリカを中心に、1940-60年代における日韓のポピュラー音楽の形成過程に関する資料集取、文献検討、理論的考察、研究発表を行い、学会発表、学会誌論文投稿、J-POPの形成過程を中心とした東アジアポピュラー音楽の国際化に関する学術的かつ社会的発信を行っていきたい。具体的には次のようになる。 <2020年度の研究計画>① 資料調査:日米韓を中心とする文献レビューと資料調査、インタビュー調査を行う。② 歴史化・理論化作業:1988-2001年における冷戦後の文化地図の再編によるポピュラー音楽の変容とJ-POPを中心とする東アジアポピュラー音楽のグローバル化を制度と実践、言説の水準で分析する。③ 公表:学会発表、学会誌論文投稿、J-POPの形成過程を中心とした東アジアポピュラー音楽の国際化に関する一般書を執筆、出版(日本語、韓国語) <2021年度の研究計画>① 資料調査:日米韓を中心とする文献レビューと資料調査、インタビュー調査を行う。② 歴史化・理論化作業:2001-2018年における音楽のデジタル化によるポピュラー音楽の構造とJ-POPとK-POPの文化融合がグローバルな音楽界にもたらした音楽的・産業的・社会的意味について分析する。③ 公表:学会発表、学会誌論文投稿。 <2022年度の研究計画>① 資料調査:日米韓を中心とする文献レビューと資料調査、インタビュー調査を行う。② 歴史化・理論化作業:1945年から現代に至るまでのプロセスを総括する。③ 公表:学会発表、本研究を総括する学術書を執筆、出版(日本語、韓国語、英語)。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスのため、2020年3月に予定されていた調査を2021年度に延期した。
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