2019 Fiscal Year Research-status Report
Who revitalize a rural area? The duality of an identity of human resources who move between a city and a rural area
Project/Area Number |
19K13889
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
樋田 有一郎 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (50825023)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地方創生 / Uターン / 地域内よそ者 / 社会関係資本 / 離島・中山間地域 / 限界集落 / 愛媛県 / 島根県 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少が進み限界集落化が進む離島・中山間地域をフィールドに、地域活性化を行う住民の活動とその主体性を明らかにするためのライフストーリー調査を行っている。 調査対象者の分析を通じてまだ探索的な段階だが次のことが対象地域で生じていることが示唆された。調査対象地域である離島・中山間地域は、地理的な隔絶性(奥地性)が高いため、内と外の関係が立ち現れやすいが、近代化以降、住民はライフコースの様々な段階で、地域移動を積極的に行うことが当然視されている地域であった。そのため、住民内部には、生まれ育った地元の地域の住民としての感覚・技能・行動様式(地元住民性)と他出した先の都市の住民としての感覚・技能・行動様式(よそ者性)の両者が存在していた。両者は葛藤しながら融合され「地域内よそ者」と呼べる両者の特徴を併せ持つ住民の性質を対象者は持っていた。住民は、親世代のやり方や協調を重視する地元的な感覚と、親世代のやり方を否定して都市的な視点から革新を行おうとするよそ者的な感覚を慎重に使い分けながら、現状を「少しヅラす」ことが地域活性化や地域の変革を行う上で重要であることを理解していることが示唆された。 これまで、地域活性化は、住民のみにしか不可知な地域的な価値を用いた内発的な発展を重視する立場と、よそ者・若者・馬鹿者に代表されるような外部性による発展を重視する立場から対立的に論じられてきた。本研究が、検討した「地域内よそ者」の議論は、こうした二項対立的な議論に、あらたに住民自身が地域的価値とよそ者的価値の両者を持ち込むという視点の重要性が明らかにしようとした。このような問題意識の元、一部の対象者のライフストーリーを分析し、中山間地域の住民が地域移動を行う中でどのような主体性が形成されたかに迫った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
島根県および愛媛県の過疎地域での調査を行い両地域の地域活性化を行う運動についてのデータを収集し、論文としてまとめた。 継続してフィールドワークを行っている島根県の中山間地域では、これまでアタックしていた住民に継続した調査を行った。住民のライフストーリーを集め、成果は、雑誌『村落社会研究ジャーナル』第26巻2号(52号)(日本村落研究学会)での掲載が決まった。 新たに愛媛県の離島・中山間地域にフィールドエントリーを行った。実際にUターンをして地域活性化を行っている住民や将来のUターンを促進するための教育を町と住民が行っていることについて聞き取り調査を行った。成果は、大学紀要および雑誌『地域人材育成研究』第1号および第2号で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「地域内よそ者」の概念をより、精緻化、一般化することを目指してきたいと考えている。 まず、「地域内よそ者」として描き出すことができた対象者の職種が一部の職種に限られているという指摘を受けたことから、今後、より広範なデータの検証を行い、特に離島・中山間地域で重視されている農業従事者のライフストーリーの分析を進めていくことを考えている。 さらに、「地域内よそ者」の育成過程について、Uターン者のライフストーリーのみに注目してきたが、交通・通信の発達による地元に居ながらにして外部性を獲得すること、Iターン者との接触によって外部性を獲得することなどに注目して、地域内よそ者の生育過程をより一般的に捉えることを目指していきたいと考えている。 また、地域内よそ者の生育過程が、すでにUターンした者のみに注目した議論となってしまったことを振り返り、他出時、他出後についても注目してモデルの分析を行う必要が生じている。
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Research Products
(4 results)