2020 Fiscal Year Research-status Report
少子社会における出生順位と職業達成の関連メカニズムの実証的解明
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19K13896
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
苫米地 なつ帆 大阪経済大学, 情報社会学部, 講師 (90782269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 職業達成 / 出生順位 / きょうだい構成 / 社会階層 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、きょうだいの中で何番目に生まれたかということと、個人の職業の間になぜ関連が生じるのか、そのメカニズムを実証的に解明することである。具体的には、家族内での経済的・情緒的なサポートの配分状況や、家族内での役割意識・役割期待が出生順位によって異なっているかどうか、それらが職業にも影響を与えているかどうかを検証する。この検証をとおして個人が選択不可能な生得的属性に起因する不平等の実態を示すことで、いかにして不平等を解決するかを見出す契機を得るとともに、家族や社会階層を対象とした実証的研究のさらなる発展に寄与することができると考える。 上記の課題を遂行するために質問紙調査を実施する計画でおり、2020年度は本調査に向けた予備調査をウェブにて実施した。予備調査では、一番年下のきょうだいが30歳以上の個人を対象とし、調査対象者本人の学歴や職業にかんする情報のほか、調査対象者のきょうだいの学歴や職業について尋ねた。調査対象者に対象者自身のきょうだいの状況について尋ねる調査はこれまでにもいくつか実施されているが、職業について複数の情報を得ているものはほとんどみられないため、今回の予備調査の実施はより適切な本調査企画を立てるうえで非常に有益なものとなった。調査の実施後は、調査データのクリーニングやコーディング作業を進め、予備調査データの基礎集計の結果を報告書としてまとめ、より詳細な結果を論文として公表する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では初年度にあたる2019年度に予備調査を実施、2020年度に本調査を実施する計画でいたが、2019年度に産休・育休を取得したことにともなって予備調査の実施に至ることができず、2020年度に予備調査を実施するとともに、なるべく早く本調査実施の準備を整えるよう計画を修正していた。それをふまえて予備調査の実施は完了したものの、2020年度中に本調査の実施までは到達できなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは2020年度中に実施した予備調査の結果をふまえた本調査を実施する。調査の実施およびデータの整備にあたっては、データのクリーニングやコーディング等の作業をなるべく軽減する工夫をおこなって、すみやかにデータ分析に取り組めるようにする(調査項目の調整やエクセルのマクロの活用など)。研究成果についてもすみやかに公表できるよう、学会発表や論文の執筆のほか、HPでの成果発信も進める予定である。
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Causes of Carryover |
計画を後ろ倒しして本調査の実施が次年度になったため、次年度使用額が生じている。生じた次年度使用額は本来の使用目的どおりに本調査の費用に充てる。また、次年度分として請求した研究費についても、当初の計画どおりに本調査の実施や報告書の作成、それらに関連する人件費を中心に使用する予定である。
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