2021 Fiscal Year Research-status Report
少子社会における出生順位と職業達成の関連メカニズムの実証的解明
Project/Area Number |
19K13896
|
Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
苫米地 なつ帆 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (90782269)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 出生順位 / きょうだい構成 / 職業達成 / 社会階層 / ジェンダー / 家族 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,出生順位(=きょうだいの中で何番目に生まれたか)と個人の職業の間に関連がみられるのはなぜなのか,そのメカニズムを実証的に解明することを目的とするものである.出生順位によって教育達成が異なっていたり,親から子どもへの資源配分が異なっていたりするという先行研究の知見を出発点とし,親から子への経済的な資源や非経済的な資源(具体的には情緒的なサポート等)の配分状況が職業達成に対しても影響を与えているのかということや,出生順位によって役割意識や親からの役割期待が異なるのかどうか,もし異なっているとすればそれと職業達成の間に関連がみられるのではないかということについて検証し,新たな知見を得ることを目指している. 2021年度は,前述した検証課題に取り組むために必要な調査の実施に向けて,2020年度におこなった予備調査のデータ分析や関連する調査データの分析をもとに,本調査の準備を進めた.分析からは,たとえば初職については出身階層や経済状況,本人の学歴を統制しても出生順位が遅いと専門職や管理職にはなりにくいこと,母親が教育的な関与をしていると専門職や管理職になりやすいことが示された.しかしながら,出生順位と母親の教育的な関与の交互作用には統計的に有意な効果がみとめられなかったため,出生順位がなぜ職業に影響を与えるのかについて,さらなる検証が必要であることが改めて確認された.そのほか,一人っ子ときょうだいのいる子どもとでは母親の関与や教育期待,初職の分布に違いがみられたことから,きょうだいがいる場合のきょうだい内での比較だけでなく,一人っ子ときょうだいのいる子どもの比較の重要性も再度示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度中に本調査を実施する予定で準備を進めていたが、予備調査の分析結果から調査対象者や調査項目を再度十分に検討する必要があるという考えに至り、本調査のための準備に想定以上の時間が必要になったため。結果的に年度中に本調査を実施することができなかったため、遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは2021年度中に実施できなかった本調査をすみやかに実施する。また、実査の後にスムーズにデータ分析に入れるように、調査の準備と並行してデータ納品後のコーディングやクリーニングに必要なプログラムファイル等の準備もしておく。得られた知見についてもできる限り迅速に公表できるよう、学会発表や論文の執筆、HPでの研究成果の紹介等を計画的におこなう。
|
Causes of Carryover |
2021年度中に調査を実施する予定でおり、その調査費用および調査の準備に関連する費用が計上されていたが、結果的に調査の実施に至らず2022年度に調査を実施することになったため、次年度使用額が生じている。生じた次年度使用額は調査に関連する費用に充て、より有益なデータを得たうえで、広く研究成果を発信することに使用する。
|