2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Study of a Care-Supplier: Evidence from Japanese Government Statistics
Project/Area Number |
19K13907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (90807835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護 / 介護者 / 介護労働者 / 介護組織 / 大規模社会調査データ / 政府統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,超高齢社会における持続可能な介護供給体制はいかにして可能かという問いを念頭に,家族介護者・介護労働者・介護組織という様々な介護供給主体の実態・問題・解決策を探求することであり,以下の実証研究を遂行した. ①家族介護者の分析:家族において誰が誰を介護しているのかを明らかにし,その介護状況が労働市場アウトカムに与える影響を分析した.分析結果からは,2021年では壮年調査世代女性で約16%,壮年調査世代男性で約4.8%,若年調査世代女性で約5.4%,若年調査世代男性で約3.3%が家族介護をしていることがわかった.なおこの家族介護者の割合は2020年に比べてやや低下しており,コロナ禍において家族介護ができない状況も考えられる.家族介護が就業に与える影響については,女性のみが影響を受けている.具体的には,家族介護をすると就業確率が平均で5%低くなり,労働時間(月)が平均で5時間短くなる.さらに,家族介護は女性においてのみメンタルヘルスを悪化させる傾向があった. ②介護労働者の分析:介護労働者の離職や介護労働の世代間再生産について分析をおこなった.分析結果からは,介護労働者の離職行動は事業所内賃金に影響を受けること,入職動機が内発的動機に基づく場合には低賃金でも就業継続する傾向,女性の場合には母親が介護職の場合には介護職が世代間再生産されていることが明らかとなった. ③介護組織の分析;介護組織の地域・資源配置の整理と配置状況が組織や当該地域の介護者のパフォーマンスに与える影響を分析した.分析結果からは,介護施設の利用可能性は男女とも就業率と相関がないこと,在宅介護サービスでは訪問介護の利用が男性の就業率を下げ,短期入所の利用が男性の就業率を上げるが女性の就業率とは相関がないことが確認された.また公的介護施設やサービスのアクセシビリティが死亡場所と関連することも明らかとなった.
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Research Products
(8 results)